私の幸せだった記憶【半妖の滅龍士】

・ ページ17

庭で花に水をあげているAを見る。

本当に綺麗なった。出会った時も綺麗な顔をしていると思っていたが、今では俺にはもったいないくらいの容姿だ。




初めてアイツに出会った時もそうだった。


俺がAに出会ったのは俺が町で情報収集を行なっていた時のことだった。

Aと、彼女を連れ歩いていた人売りの男たちが歩いているのを見かけた。
初めは可哀想なやつだと思っていた。全然喋らないし顔もよく見えないし、あまり興味なかった。



でも、風が強かったあの日、俺は彼女の顔を見ることができた。

すごく、綺麗だったんだ。この世のものとは思えないほどの綺麗な。
宝石のように輝いてる瞳、白い肌、長いまつ毛、全てが俺の心のを奪った。
こんなに綺麗な子が近くにいたなんて。


しかしAはいつも無表情だ。
笑うことも、怒ることも、泣くこともない、ただ誰かの言うことを聞いて従うだけの人形のような彼女。

許せなかった。Aを無碍に扱う男達に、自分の意思がないAにも。




あの日、誓った。
絶対に俺が彼女を救い出して変えて見せる…と。

今思えば一目惚れだったのかもしれない。




そう決めてから実行するまで、そう時間はかからなかった。

タイミングがいいことに奴らは俺の住処の近くまでAを連れてやってきた。Aを救い出したあの日、俺はいてもたってもいられなくなって奴らを殺した。

持っていた小型ナイフで喉を切り裂いてぐちゃぐちゃになるまで蹴り倒した。隣にAがいることを知っていながらも無我夢中に、目の前の奴らを。




血まみれになった俺はAに優しく声をかける。





シュウ「お前、大丈夫か？」




Aは驚いた表情で俺を見る。




『あなたが…やったの？』

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す