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「いつもありがとうございます」
夕飯を食べ終えた後、私達はリュウタを家に送った。
ここに来る時にリュウタを間に挟んで三人で手を繋いだ。とても楽しかったし周りから見れば夫婦って思われてたりして…
…なーんて、妄想も過ぎてるわね。
『おやすみ、リュウタ』
シュウ「またな」
リュウタ「うん!シュウ兄もA姉もおやすみ!」
ぶんぶんと手を振るリュウタ。
私とシュウさんは来た道をまた歩く。
当たりはもう真っ暗で足元が見えなくなっていた。
だけど空にはたくさんの星が照らされている。
ふと思い出した私達の幼少期の頃。
ほぼ野宿状態だった私達は寝る時も外で、拾ってきた毛布を掛けて寝ていた。
毎晩寝る前に空に浮かんでいる星々をみてから寝るのが習慣だった。
いい思い出だ。
シュウ「…星、か」
『昔の私達を思い出しますね』
シュウ「そうだな、あの頃と比べれば生活も安定してきた」
本当に、辛い日々だった。
でも私はシュウさんがいたからここまで生きてこれた。
彼がいなくなったら私、どうなるのかな。
『……』
シュウ「A?」
私からシュウさんの手を握ってみる。
昔は当たり前のように握っていた手も今では気安く触れられない。
いや、触れることはできるけど私の心が持たない。
自分の恋心に気づいてから、そう思うようになった。
シュウ「今日は随分と積極的だな?」
『ま、まぁ…私達一応婚約してるわけですし』
シュウ「はは、そうだな」
そう言って彼は繋いでただけの手に、指を絡ませていた。
恋人繋ぎ、嬉しいな。
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