私の幸せだった記憶【半妖の滅龍士】

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少女は煙草の煙に噎せた。

慣れない空気に拒絶反応を起こし、収まらないほどに咳き込んでしまう。それを見た男たちは気を悪そうに舌打ちをする。




『っ……』




男達からの冷めた瞳をみて少女は怯えた。

いつまでこんな生活が続くのか。いつからだろう、自分がここで商品として扱われ始めたのは。

いつか自分に自由はやって来るのだろうか…





靴すら履かせてもらえなかった少女の足は黒く汚れていた。

痛みなど、感じなくなってしまうほどに身体は慣れていた。傷だって直ぐに治る。

まるで“歩け“と言わんばかりに彼女の足は生き生きとしていた。





少女が男の方に目線を向けた時だった…





ﾊﾞﾀﾝｯ





『え……』




彼女の弱々しい声に反して、目の前の男からは倒れる音と、返り血の音が聞こえた。

一人の男が、目の前で倒れたのだ。

首元からドクドクと血が溢れだしている。何かに首を切られたのだろうか、傷が深い。

一瞬での出来事だったのに、何があったのか分からなかった。





「！？……お、おい、お前……」





隣にいた煙草を吸っていた男は少女と同じように何があったのか理解できなかった。ただ、目の前の倒れている男に驚きながら体を震わせている。

次の瞬間だった。





「ぐあっ！？」





隣にいた男も、突然倒れたのだ。

彼は横腹を切られていた。先程と同じ一瞬での出来事であったのにも関わらず傷が深い、即死だろう。



さっきまで自分をゴミのような扱いをしていた男たちが一瞬にして死んで行ったのを見届けていると、隣に何かが落ちた……着地したような気配を察知した。

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