【A3!】イージーモードな彼と私【摂津万里】 (ページ24)

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＊ちょっとだけページ24

「俺、コイツ駅まで送ってくから監督ちゃんに伝言よろ～」

そろそろ暗くなる時間なので、ベンチの前で解散した。またねー！と跳ねる九門くんに手を振り返してから、万里の顔を覗き込む。

「喧嘩はもういいの？」
「あんなやつと話してたら時間の無駄。ほら、行くぞ」

差し出された大きな手に指を絡め、ぎゅっと力を込めて歩き出す。

「まさか万里に会うとは思わなかった」
「俺もAの浮気現場に居合わせるとは思わなかった」
「また言ってる。Aちゃんは万里くん一筋ですよ？」
「へーへーそうですか～。で、そのバカでかい袋は何？」

右肩にかかる大きい袋を指さす万里。結局デート服以外にも次シーズンの服も買ったのでなかなか大荷物だった。

「へへ～今度演劇見に行く時の服買ったの！まあ他にもいろいろ買っちゃったけど」
「なる～、まぁだいたい予想通りだったけどな。ほら、貸せ」

ありがとう万里くん大好き！なんて言えばうるせぇ…と普通に言われてしまった。

「しゃーねーから家まで送ってやる」
「ほんとに？嬉しい…」
「…！ったく急に素直になんなよ調子狂うっ」

なぜかデレデレな万里、握る手をぎゅっとすれば少し顔を赤くしてうるうるした綺麗な目で見てくるのが可愛かった。

・

「たっだいま～」
「くそあちぃ～」

先に靴を脱いで上がれば、バタンっと扉の閉まる音がした。

「お茶入れるね」
「あ～いや、もう戻んねーとなんだわ。わりぃな」

玄関の隅にショップ袋を置き、頭をポンっと撫でられる。

「…30分だけ」
「だーめ」
「…20分」
「むり」
「…10分」
「…5分だけな？」

そう言うと少し屈んで目を合わせてから、ふっと優しく髪を撫でられる。

「なんつー顔してんだよ」
「泣いてないよ」
「まだ言ってねーよ、ほらあと4分。何して欲しい？」
「ぎゅーがいい」
「ん、了解」

玄関の段差のおかげで少し狭まった距離、屈む万里の首に腕を回して抱きつく。
すぐ近くにある耳に大好き。と小声で話せば、少し身体をびくっとさせた後にお前…と睨まれる。

「…愛してる」

背中が剃るくらいキツく抱きしめられてから、仕返しと言わんばかりに甘くて低い声で囁かれる。
ニヤニヤと笑うのが悔しくて、唇をぴったり押し付けるようなキスをしてみた。

「っはい、そこまで。時間あったら電話する」
「時間なくてもして」
「考えとく。じゃ、行くな。」
「うん、またね！」

バイバイと手を振って見送った後、つい顔がにやけた。