*二日酔い ページ17
朝、と言っても時刻は10時過ぎ、珍しくぐっすり寝てしまったようでやっと目を覚ます。
まあ、今日は授業が無いしゆっくり過ごす予定だったけれど、あまりにも遅い起床で昨日の事を思い出した。
たくさん人がいたけれど、お構い無しにわんわん泣いてしまえば、その疲れは意外にもすぐ身体に現れるんだな、とゆっくり起き上がった。
「わ…目、ちょっと腫れてるな…」
洗面所で少しだけ人相の悪い目付きになっている鏡の中の自分を睨みつけ、ふぅ、と息を吐いた。
もともと出かける予定はなかったけれど、急遽思い立ったあの場所へ行くために、とりあえず顔を洗った。
・
「えっと…確かここらへんの道を…」
まだ記憶に新しいこの道を、先程買った和菓子の詰め合わせを持ちMANKAI寮へ一人で歩く。
というのも、慌てていたため万里が置いていった服を届けたり、貰いすぎたタクシー代…の代わりの和菓子を渡そうと思ったからだ。
まあ万里の服は次家に来た時に持って行って貰えば買ったけど…
本当はほんの少しだけ万里に会える気がしたから、というのは誰にも言うことなく私の心に沈めておこう。
・
昨日と同じインターホンを押せば、優しそうな男性が出てきた。
「はーい。あれ?あなたは昨日の…」
「あ、はい!昨日はお騒がせしました…原山Aです。監督さんはいらっしゃいますか?」
昨日会ったはずなのに、顔は覚えているもののお名前までは聞いていなかった…不覚、なんだか気まずくなって少し目線を泳がせる。
「それが…監督は今買い出しで居ないんです。もう少しで帰ってくるはずなので、よかったら中に入ってください。」
「あぁ、いえそんな!これをお渡ししたくて来たので…」
「そうですか。じゃあ、俺から渡しておきますね。こっちは…万里くんに渡せばいいのかな?」
「紬さ〜ん手袋落ちてたぞ…ってA!?」
「え!万里!?学校いってたんじゃ…」
「あ〜〜〜くそっまじかよ、とりあえず入れ」
会いたいと思っていたけど、本当にいるとは…私の勘はなかなか効くのかな、なんて思いつつ中に入れば、ニコニコと嬉しそうに"紬さん"と呼ばれた人が微笑んでいた。
「2人とも、ごゆっくり。」
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作者名:ムリ子 | 作成日時:2019年8月1日 22時