02 十三時四十二分 ページ2
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そもそも、なんでこんなことになったのだろうか。
遡ること一週間前。
俺が目覚めた時、いつもとは違って瞼がとてつもなく重かった。
内容は覚えていないけど、長い長い夢を見ていなような、そんな感じだった。
動きづらい首を無理やり動かし、見慣れない天井とカーテンを見回す。
「……病院？」
訳が分からない。どうして俺は病院にいるんだ？
まるで自分のものではないような腕を伸ばし、震える手でナースコールのボタンを押す。
看護師を待つ間、ベッドの隣にある窓に視線を移した。
外には、桜の木が今か今かと時期を待つように蕾をつけている。
この桜が咲いた時には、舞い落ちる花を捕まえてみたい。
「成瀬さん目が覚めたんですね！」
「、え」
どういうこと、と反射的に口から零れる。
目が覚めたって言い方だと、俺がずっと寝ていたみたいだ。
「成瀬さん、事故にあって……二週間寝たきりだったんですよ」
耳にした途端、ぶわっと頭の中で記憶の波が流れる。
歩道を歩いていた俺に、だんだんと近づいてくる自動車。混乱で動かなかった足。半身に走った強烈な痛み。
俺の記憶はそこで終わっている。確かに事故にあった。
跳ねられた時に打ったところが悪く、俺は少しの間目を覚まさなかったらしい。
先生に報告してきますね、と残して看護師が病室を出る。
俺の荷物は近くの棚に置かれていた。
鞄の中身を漁ると、財布と携帯とイヤホンが入っている。と言っても無事なのは財布くらいで、携帯はバキバキに割れているし、イヤホンも断線していそうな気配がする。
設置されているデジタル時計を見ると、『三月二十五日 日曜日 十三時四十二分』とご丁寧に表示されている。
それは確かに俺が出かけた日付より何日も進んでいた。
俺がいない間にも、眠り続けている間にも、世界は上手く回っていくらしい。
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大谷しおる(プロフ) - はむもちさん» コメント何度でも嬉しいです、ありがとうございます！ 心理描写にいつもより力を入れているので嬉しいです。 (2018年4月3日 14時) (
レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
はむもち(プロフ) - 成瀬さんの心情と夢主ちゃんの心情が上手い具合にすれ違ってしまっていてなんか泣きそうです。2回目のコメント失礼しました (2018年4月3日 13時) (レス) id: 965b489066 (このIDを非表示/違反報告)
大谷しおる(プロフ) - 小鳩◎さん» コメントありがとうございます！ 最高に嬉しいです、人のインスピレーションを刺激できるような作品をかけて良かった…！ そうですなるせさん無自覚なんですよね。とても切ない。更新頑張ります！；； (2018年4月1日 23時) (レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
小鳩◎(プロフ) - コメント失礼します…！占ツクでひっっさしぶりにインスピレーションを刺激してくる神作品に出会えてとても感動しています( ToT )無自覚ななるせさんが何とも…(;_;)更新楽しみにしています！ (2018年4月1日 23時) (レス) id: 2c285f09cc (このIDを非表示/違反報告)
大谷しおる(プロフ) - 露亜さん» コメントありがとうございます、そう言っていただけてとても嬉しいです…；；！更新頑張ります！！ (2018年4月1日 20時) (レス) id: d0b3d0a09b (このIDを非表示/違反報告)
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