5話 ページ6
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それからの私は、狂ったようにサッカーの勉強を始めた
空いた時間は律のオススメのW杯の試合を見たり、選手のインタビュー記事を読んだり
サッカーのルール自体は1日で叩き込み、本には載っていない細かい部分は 自分の学校の部活を見学したり 実際に試合を観戦しに行った
そんな生活を始めて約半月
「珍しいね、毎回のテスト1位のAが10位とか」
『あはは』
学校の勉強との両立が上手くいかず、分かりやすくテストの順位が下がってしまった
中学の時から同じクラスのカルマは浅野くんと同率1位だった。
「どーすんの。順位関係なく 成績下がった奴補習って言ってたけど」
『んー、それについてはだいじょぶー』
纏めた英単語帳をペラペラと捲りながら、前の席に座るカルマに返した
でも、最近はずっとサッカー詰めで 気分転換出来てないんだよなぁ
「ねぇ、A」
『なぁに?』
ふと、カルマの視線が 私の首筋に移った
制服のYシャツの下からはみ出て見える 首に巻いた包帯に、そっと右手が触れた
『痛くも痒くも無いよ、ちょっと跡が残ってるだけだから隠したいだけだし』
この包帯の下を知っているのは カルマと殺せんせーだけ。
私の首を触っているカルマにとって、あの日はきっと トラウマレベルのものだっただろうな。
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片手に持ったカッターナイフ
首筋から流れる血
その血で紅く染まった 湯船
1年前の春、私は
この命を絶とうとした。
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「A、今日の放課後 ちょっと付き合ってくんない?」
『えっ、?』
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ゆきよ - 続きたくさん!嬉しい!最後の体力訓練のところ面白かった!マアーとてもキヅイのシッテマス... (11月1日 6時) (レス) @page13 id: a818dee385 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきよ - 続きどこ? (10月28日 1時) (レス) @page8 id: a818dee385 (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - はじめまして潮田様‼︎1話目でもう泣いちゃいました。続きとっても楽しみです! (9月18日 4時) (レス) id: dcbf025cae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:潮田 さとう | 作成日時:2023年9月18日 3時