【REBORN】包容する大空 ⅩｘＸⅡ【XANXUS】 (ページ13)

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標的1417＊そんなものはただの逃げページ13

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ずっと、暗闇の中にいるようだった。

抜け出したいという想いすら抱くこともなく。

ただずっと、蹲っていた。

そこから出て行きたいと思ったのは、何も変わらず一緒にいてくれた存在があったから。

手を引いてくれた。笑みを向けてくれた。

それだけで、充分だった。

立ち止まって蹲って、そんな事をしてたって何にもならない事は解っていた。

ただ、勇気が出なくて。

そんな事をして何になるんだろうって自暴自棄になって。

でも、意味はあったんだ。

だって、光が見えたから。また一緒に隣り合って歩き出すことができたから。

＊

闇の中、ただ一人で少女は蹲る。

唯一少女を照らす光は、座り込んだ地面に浮かぶ幾つもの映像だけ。

蹲り膝頭に額をつけた少女の目に、その光景は映らない。

だけれど見なくても、何が映っているのか少女は解っていた。

帰る事も、変える事も出来ない過去。

戻らない時間をただ悔やみ、戻ればと願い、少女はぎゅっと身を小さくさせる。

笑って泣いて、楽しんで悲しんで。

今でも未来でもない、ただ戻らない過去を想う。

…ジ……ジジッ……

ふいに、少女の足元の映像が乱れた。

耳障りな雑音と、過去にあるはずのない映像が紛れ込む。

ピクリと反応した少女は、蹲ったまま震えだす。

――知らない…。こんなの私は知らない。

映像に映るのは、いつも浮かべられていた笑顔。耳に届く音は絶えない笑い声。

乱れながら見える映像は、諦めず立ち上がり、苦しみながらも笑い合う、必死な人々の姿。

――いいよ、もう…。どうせ何も出来ない。一人でいれば済むだけ。私の所為。私の所為なんだから…。

何も見たくない。

そういうように身を小さくさせる少女の足元で、それでも映像は続く。

途切れ途切れの音声が、だんだんとはっきり音を紡ぎ出す。

何てことはない日常の会話。

大切なんだと言わなくても、それを感じさえる声音。

親しさも信頼もみせる瞳。

その中で穏やかに、優しい声音で名を呼ばれた。

キュッと泣きそうに震える口元を、少女は必死に引き結んだ。