標的1393＊本当に大切なもの ページ35
《ゴッチャside》
いくつもの銃口が俺に向けられている。
それは、下手なことをすれば容赦なく引き金が引かれるのだろう。
……………いや。銃声を聞けば、外に居るアイツらが押し入ってくるかな。
それなら、先に外を片付けるだろう。
そう思うと、自然と心臓が焦燥を刻む。
けれど、ここで焦っても良いことは無い。落ち着け。
今、外も街も、きっと危険な事が起こってる。
本当なら、それを片付けなければならないのは俺の役目。
…………本当に情けない。自分のシマを守る力もないなんてボス失格だ。
けれど。だとしても………。
「恥だ」と罵られても「情けない」と笑われても、俺はファミリーの街の皆も大切だから。傷ついて欲しくないから。
だから、ボンゴレに頭を下げた。
「これでお終いですかね。今頃は街も、外にいる連中も全員………」
「大変です！」
誰かが慌てたように部屋に入って来た。
相手の男は落ち着いた風に「何事だ」とそいつに視線を向ける。
「外の味方が奴らに捕らえられ、街の方とも連絡が取れません！」
「！」
あぁ………。胸の内で大きく息を吐く。
街もこちらも、きっと彼らのおかげだろう。
始めはとても驚いたけれど、なんて頼もしいのだろうか。
ゴ「俺たちが、何の策もなくここへ来たと思ったか？」
「！ 腕の良い殺し屋でも雇いましたか……」
ゴ「そんなものではない。」
不敵に口角を上げれば、正体不明のこちらの味方に苛立ちを見せている。
ゴ「さて、話を続けよう。」
「っ…………」
ゴ「さっさと我々のシマから出て行ってもらうために。俺はあまり抗争は好きではないんだ。」
ギッと奥歯を噛み、苛立ちを隠そうとしない相手。
けれど、すぐ先程までの余裕気な表情に戻った。
「いえ。どちらにしろ、あなたさえ仕留めれば残った奴らを叩くなど造作もない。故に、あなたには今ここで」
がちゃりと再度銃口が向けられる。
「消えてもらう！」
ズガンッ！
引かれた引き金。放たれる銃弾。
ボウッ………！
それを防いだのは、一際目を惹く、綺麗なオレンジの炎だった。
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作者名：桜
| 作成日時：2019年9月16日 18時
