標的1376＊僅かなひと時 ページ18
ネーヴェさんは「いいわね」って言って笑う。その目はどこか羨まし気で……。
ネーヴェさんもとても素敵な女性だと思う。
きっと親しくなりたい男性だって多いだろう。でもネーヴェさんはそういう人たちの事は見ていないみたい。
貴「…………ネーヴェさん、好きな人がいるんですか？」
ネ「えっ！？ ど、どうして……？」
貴「なんとなく………。周りの男性とかは視界に入っていないみたいなので……」
思った事を言えば、どうしてか視線が彷徨う。
………当たってた？
挙動不審なネーヴェさんは、やがて観念したようにため息をついた。
ネ「………えぇ。いますわ。でも………あの人、私の事なんてどうともないみたいで……」
貴「どんな方ですか？」
ネーヴェさんの想い人。少し気になる……。
ネ「………年上で、世界中を旅してるような人ですわ。」
貴「旅人さん？」
ネ「まぁ、こういう世界関係の人ですけれど………。腕っぷしは強くないけれど、笑うと無邪気な子供みたいな人ですの。」
笑うと無邪気な子供………。
私の頭に山本のような人がモヤモヤと浮かぶ。
魅力ある人なんだろうなぁ……。
幸せそうに話すネーヴェさん。その幸せが伝わってくる。
貴「ネーヴェさんの想い、伝わるといいですね。」
ネ「えぇ。そうなったらA様に負けないくらい幸せな女になりますわ。」
そう言って笑い合う。
私も、今充分幸せだと思ってる。
皆が居てくれることも。
隣に、ザンが居てくれることも。
嬉しいけれど、少し気恥ずかしい。
そう思っていると、急にザンに引き寄せられ、頬に口付けを落とされた。
いきなりの事に恥ずかしくなるとザンに笑われ。ネーヴェさんにもクスリと笑われる。
それで余計に、顔に熱が集まった。
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作者名：桜
| 作成日時：2019年9月16日 18時
