標的1371＊実は ページ13
ネ「A様。その怪我の手当て私がいたします。」
貴「え？」
ザンに医務室に案内してもらおうと席を立った時、ネーヴェさんがそう言った。
驚いてみれば、その青い目がじっと私を見てる。
ネ「私達の事に巻きこんでしまったんですもの。これくらい。寧ろやらせてください！」
ラ「妹はファミリー1の医術の知識と腕を持っていますので、ご心配はいりません。」
そうなんだ。それに少し驚く。
でも、ご厚意無為にするのも申し訳ない。
貴「それじゃあ、お願いし………」
ネ「喜んで！」
ぐぃ……！
最後まで言うことなく腕を引かれ、執務室を出た。あれ？ 風を感じる……。
遠くなる執務室から「十代目ぇぇ！」「だから何でそうお前は強引なんだぁ！」って獄寺君とラーゴさんらしい声が聞こえた気がした……。
ラ「すみません！ 妹がA様に失礼をっ……！」
九「ははは！ 元気でいいじゃないか。君がそう冷静さをなくすのもいつも事だね。」
ラ「アイツは強引なところが………あぁ！ 失礼な事しなければいいのですが……。」
山「台風みたいな人だな……。」
了「うむ……。」
リ「淑やかに見えて嵐だな。どうした、XANXUS.」
Ｘ「Aの所に行く。」
リ「お前も心配性だな。」
Ｘ「あ？」
そんな執務室での会話なんて知らず、私とネーヴェさんは医務室に居た。
医療班の皆さんに道具を借りたネーヴェさんが包帯を替えてくれる。
この医務室の一角には私達だけ。
2人きりになるのは初めてで、少し緊張する。
ネ「本当にごめんなさい……。こんな怪我をさせてしまって……。」
貴「気にしないでください。これはネーヴェさんの所為じゃありません。」
薬を塗って、傷に触れないように包帯を巻いてくれる。
視界に入るのは、とても真剣な青い瞳。
貴「医術については、いつから勉強されたんですか？」
ネ「私達のファミリーは、子供の頃から皆叩き込まれて育つんです。私も母や兄に朝から晩まで扱かれましたわ。」
貴「凄いですね……。医療って難しんでしょう？」
ネ「えぇ。とても。」
苦笑を見せたネーヴェさん。
でも、その壁を越えて来たんだ。凄いと思う。
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作者名：桜
| 作成日時：2019年9月16日 18時
