標的７８‐３＊十年後 ページ44
《XANXUSside》
貴「でもね。私がイタリアに来ても、会いたい時に会えるわけじゃなくて、声が聞きたい時に聞けるわけじゃなくて……」
下がっていく語尾。
どうしたのかとAを見れば、ぎゅと俺のシャツの握り、ぐいぐいと頭を擦り付けてくる。
貴「だから、ちょっと寂しくて……。これも、十年前から思ってる。」
Ｘ「！」
俺が知るAからは聞かない言葉。
驚き以上に愛しさが溢れる。
俺と同じこと、思ってんじゃねぇか。
Ｘ「俺もだ。会って、触れて、声を聞きたいと、いつも思ってる。」
貴「本当……？」
Ｘ「これで嘘は言わねぇ。」
Aを見れば、じっと俺を見返してくる。
貴「あのね、ザン。」
Ｘ「何だ。」
ふと、Aの瞳が曇った。
見たくない類のものだ。
そんな顔をさせたくない。
貴「十年前の……その頃の私は、楽しさや嬉しさで一杯だったけど、いつも、何かに縋ってしがみついていなきゃ不安だった。」
Ｘ「……？」
貴「あの頃が、一番辛かった。ザンが傍に居てくれる時は、自然と安心で大丈夫だって思えてた。」
Aからそんなことを感じたことはない。
それとも、1人で抱えているだけなのか……。
あまり自分のことを話さない恋人を想う。
貴「お願いね。私を……。」
Ｘ「あぁ。」
その頬に手を当てれば、泣きそうな笑みを浮かべる。
どんなことでも、共に分かち合える関係でありたい。
A1人に抱えさせないように……。
視線が絡まり、Aを引き寄せる。
驚いた顔を見せるが、俺は離すつもりはない。
頬を染める赤。その距離が縮まり――――
ボフンッ！
…………………後数cmで邪魔された。
煙が晴れれば、見えたのは幹部やAたち。
貴「良かったぁ！」
べ「ビックリしたし。」
戻って来たらしい……。
十年後とは随分違う、ガキらしいこの時代のA。
Ｘ「A。」
貴「はい……？ ……っ！？」
隣のAを引き寄せ、その唇を塞ぐ。
触れるだけのそれは、すぐに離れる。
貴「なっ、何するんですか！」
Ｘ「向こうで邪魔された。」
貴「っ！？」
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桜(プロフ) - 謙也LOVEさん» 全てを原作通りの関係性にしちゃ面白くないし、夢主の個性が出ないと思ったので。楽しんでいただけて嬉しいです！ (2019年12月28日 18時) (
レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
謙也LOVE - まず原作ではあり得ないことですよね？まぁ原作は主人公が男の子だからしょうがないこの小説の主人公はツナの成り代わりで女の子だからXANXUSと恋人同士になったりVARIAや骸と仲良く友達になったりしてますね？読んでて面白いです (2019年12月26日 19時) (レス) id: 53026d57c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 謙也LOVEさん» そうですね。 書き始めた時からXANXUSにとっての唯一無二であるといいな思っているので、そうあれていると嬉しいです。 (2019年12月24日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
謙也LOVE - なんだかこのXANXUS主人公がものすごく好きなんですよね？後ろから抱きついたりもう私もドキドキしちゃいますよ (2019年12月23日 18時) (レス) id: 53026d57c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 謙也LOVEさん» 作者も書いてて「あり？」ってなりましたｗ 最後はドタバタっていうのもまぁいいかなって思い直してやり切りました！ｗ (2019年12月22日 19時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2017年11月26日 19時
