【文スト】コンビニ店員がゆく、ヨコハマ怪奇譚

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二ヶ月。いや、三ヶ月前の話だ。
仕事にもすっかり慣れてきて、一つ一つの作業が当たり前だと思うようになってきた時だった。






｢おい｣






短く、一言。
自分を呼んでいるのかも分からないその声に、Aは作業する手を止めて振り返る。



男がいた。
お洒落な黒い帽子に黒い外套。帽子の奥に潜むサファイアの瞳がジッと見下ろしていて、思わず息を飲んだ。







｢六十一番｣




｢はい？｣




｢煙草、一箱｣







淡々と告げられた単語を聞き逃さず、指指されたレジ棚の方へ焦点を合わせる。
そこで漸く、男の云っている言葉を理解して｢あっ｣と小さく声が漏れた。




早々とレジまで移動して、バーコードを機会で読み取る。金額を云ったAに対して男は、プラスチックトレーにカードを置いた。






｢……え｣




｢あ？使えねぇのか？｣




｢イ、イエ。オアズカリイタシマス。｣






ブラックカードだった。
え、コンビニで使うものだったっけ？とコンマ数秒遅れて思ってしまう。








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中也さんなら、コンビニでブラックカード使ってても不思議じゃないですよね。

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