【文スト】コンビニ店員がゆく、ヨコハマ怪奇譚

16: 或る爆弾 ページ17

朝は苦手だ。それも晴れの日の朝は特に。




カーテン越しからでも分かる、太陽の眩しい光。
雲一つ無い晴天は、確かに雨よりは過ごしやすいが朝一番はかなりキツイ。






｢ん〜〜…眩しい、｣






カーテンの買い替えも考えるべきかもしれない。眩しさにやられて布団を頭まで被ると、頭の上で携帯が鳴った。



手を伸ばして取り、画面に表示された『応答』ボタンをタップして耳に翳す。大体、この時間にかけてくるのは一人しかいない。
眠気に抗い声を絞り出した。






｢…なに、中原さん………｣




｢お、起きたかよ。｣




｢…私、今日は休日なんですけど｣






訳:起こすんじゃねェよ。という意を込めて声を低くして云えば、ククッと中原さんは喉を鳴らす。



Aは裏表逆の布団を正しく被り直して、枕の位置も整える。すると、しょうがねぇだろ。と中原。






｢朝は、お前の声聞いてから出勤するのが日課なんだよ。｣




｢なんですか、その日課。｣




｢聞きたいもんはしょうがねぇだろ。｣






いや自分勝手か。メラメラと沸く怒りにAの不機嫌さは増す。
そんなAを中原は愉しそうに笑って｢可愛いな｣と囁く。






｢可愛いくないです、切ります｣




｢ん、ありがとな｣




｢……行ってらっしゃいです。｣




｢………あぁ。｣






朝の電話は不愉快この上ない。
でも、この人との電話は案外嫌いじゃないのが正直な処であるAは。






｢…なんか朝から脈早いな。｣






今日も、朝から違和感を覚える。

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