【文スト】コンビニ店員がゆく、ヨコハマ怪奇譚

01: コンビニ店員の出会い ページ2

半年前から始めたコンビニの夜勤アルバイト。




最初こそ酔っ払い相手だの、納品運びの力仕事だのに精神を削がれていたが、慣れてさえしまえば、それらは差程苦ではない。





店長は働き者で良心的、週に一度会うか会わないかのパートの叔母さん達もいつも挨拶をしてくれ、同じアルバイトの人達も仲は良い方で。



強いて云うなら、塵を纏める作業が嫌だなーとカウンターに項垂れ、バイト仲間の石井くんに苦笑いされた。






ピロン、ピロン






｢いらっしゃいませーー｣







ドアが開き、マニュアル通りの台詞を吐く。



入って来た人物と数秒。目が合って逃げるように｢じゃあ後よろしく｣と石井くんの肩を叩いた。








｢おい、逃げんなよ恵｣




｢…いーけないんだぁ、いけないんだぁ｣




｢ガキか。仕事しろ。｣







カウンターに身を乗り出して腕を掴んできた人物を冷たく見下ろすA。



バイト仲間の手前、お客さん(一応)に対してこれ以上冷たい態度をとる訳にも行かず、渋々カウンターの外側に移動した。







｢よ、今日は何時にも増して不機嫌、だなァ？｣




｢…それは、中原さんのせいです。｣






時刻は、もう1時を回っていた。

02→←00: 設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す