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「ずーいぶん機嫌がいいことで」
「うるさいな…誰でもこうなるじゃん」
「まあ好きな人だしね〜」
だから変な意地張ってないで好きなのを諦めるとかいうのをいい加減撤回したら？と言いながら私の横でアイシャドウを吟味する友人に何も言い返せずにつま先を見つめるしかない。だってもう嫌だし、諦めたいけどさ、こんなことあって嬉しくないわけはないじゃん。
「でもまさか森本から誘うなんてね」
あいつも中々やるよね〜ワンチャンあったりして、と笑った友人が私の顔を覗き込んで「ねーA？」と少し揶揄うように意地悪く笑うのに「やめな」と肩を小突く。今日も朝あんなことを言われてから到底授業に身が入るわけもなく、先生には睨まれるし実験は失敗するしで散々だったが私は浮かれているので許して欲しい。ワンチャンなんてあるわけない、あるわけないけど慎太郎からこんなことを言われるのは初めてなのでなんだか期待してしまうのは嘘ではなく事実。
だから今日も友人をいそいそと誘って化粧品を新調しようとして眺めていればそんなことを言われてなんだか頭の中が落ち着かない。何もないから諦めなよという気持ちとその日だけは夢見てもいいんじゃないの？という気持ちがせめぎ合う。
「あ、このリップかわいいよ」
キスするかもしれないしリップも買いなよ、と私の顔の横でとんでもないことを平然と言いながら色を考え始める友人に顔が赤くなった気がする。というか多分赤い。「あら〜？」想像したのかな？と友人はもう許さない。やめてよほんとに、今店なんだから！
「てか服とかは？メイクはこれでいいとして」
「服は…服は、ね」
あの日、というか好きなのをやめると決めた日に買った以来ずっと壁にかかっているままのセットアップ、それを着ようとしているがそんなことを友人に言ったら「…失恋するのを決めた日に買った服を初デートに着ていくの？」と思われそう…というか自分が逆の立場だったら思うのでいうのをやめて「なんとなく着たいのあるからさ」と言えば「そっか」と笑う。
普段と違う姿とか見たらさ〜とか言っていた気がする。ということは普段と違うメイク、普段と違う服、初めて待ち合わせをして出かける、これで何もなかったら、何も思われなかったら、私も最後にケリをつける準備が整うのかもしれない。
「A、大丈夫だよ」
「え？」
「森本と、楽しんでね」
あんたたちはちょっと気使いすぎで真面目すぎ！もっと貪欲になんな！と背中を叩かれて思わず笑みがこぼれる。そうかなあ、お互い、そうなのかな。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
