背中合わせポラリス

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　バイトから上がった後も松村くんの言葉の意味を考えながら家に帰るも全く言葉の意味が分からずに悩んでいたが、よく分からないことを考え続けても何もないのでとりあえず寝ることにする。私はぼーっとしているので寝たらスッキリした。ぼんやりしすぎなのかもしれない。

　そしてしばらく経った頃、ばったり慎太郎と朝家が出るタイミングが同じで思わず「うわっ」とびっくりして声が出てしまう。なんか色々重なって普段以上に意識してしまうというかなんというか。

　でも無視するのは到底できないし、するつもりもないので「おはよう」と声をかけて片手を振れば慎太郎にしては珍しく私の顔を見るなり「おー…」とぼんやりしているのにどこかぎこちなく笑う姿に「今日変なの」と思うも特に多くを気にすることもなく横に並ぶ。




「…最近北斗とはどう？」
「え？」




　それを言われてやっと私は思い出した。松村くんとなんか私コンビニで抱き合うことになったんだった…いや語弊と誤解しかないんだけど未だにこれは思い出すと恥ずかしいし、自分のぼんやり加減に呆れる。あれ以来松村くんとはおかしいぐらいに被っていたシフトが一度も被っていないので慎太郎への言葉の真意も聞けてないんだよな…と思っていれば「松村くんね…」と思わず声に漏れる。




「え、なんかあんの？」
「いや！なんでも！ほんとに！」
「いやわかんないからなー、人がいないからってあんな大胆な」
「だから違うって！」




　事故！何にもないってば！松村くんにこの話もう絶対しないでね！と慎太郎に念を押せば「…言われなくても俺からなんてそんな話しねーよ」と少し呆れたように、というかなんだか少し難しい顔をして笑う姿に「じ、じゃあ、いいけどね」とこれ以上何かを言う気にもなれずに身を引く。なんか今日の慎太郎なんだろう、変な感じするけど。

　そう思いながら慎太郎の方を見るのをやめて前を向けば「A」と横から名前を呼ばれるのにまた慎太郎の方を向けば「来週の土曜日、バイトなの？」と聞かれるのに「いや、ないけど、なんで？」と返す。慎太郎がいちいち私の休みの日をこんなに前から聞くなんてなに？いつも当日の朝とか、大体は突然家に来て「今暇ー？」と一階から叫んでくるのに…と怪訝な顔をすれば「出かけようよ」と耳を疑う言葉に「は？」と思わず変な声が出る。




「…で、かける？私が？慎太郎と？」
「A以外に誰いんの？」




　Aしかいねーだろ、と笑った顔、どうしようもなくときめくよ。でもなんでかな、今日の慎太郎の笑った顔は、少し心配になって胸がざわつく。




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