deceive oneself ページ40
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「慎太郎は私を見ているようで、見てないよね」
なんてことを言われてフラれた中学時代。フラれた時は「随分大人びた子だったんだな」としか思わなかったが高校生になった今、その言葉の意味は痛いぐらいにわかる。
どこかで目で追っていた、暇な時誰かを誘おうとした時に浮かぶのに、Aがずっといたこと。きっとずっと好きだったと思う。よくわからなかったけど多分これは好きなんだろうな、なんて、気づいた時には高校に入学していた。
でも関係性なんてただの幼馴染でしかない。でも自覚してしまった以上もう諦められないのだ、キモいよなあ、わかるよ、俺はまだ、これをストレートに伝えられない。
今までの好きだったらすぐに好きだと伝えられる俺はどこに行った？すぐにアピールできる俺は、どこに行ってしまったのだろうか。きっと全部崩れるのが怖いから、壊れるぐらいなら、崩れるぐらいなら俺はずっと友達でいい、幼馴染でいい。だって好きってやつはさ、お互いがそれを思ってないと全部崩れるでしょ、だから俺は言わない、言えない、全部、蓋をする。
気づいたってこれをどうすることもできない。だからそれに気づいた後は彼女も作らずに告白も濁して、濁して、でもどこかで捨てきれない期待だけは胸でずっと疼いているのがもどかしくてイラつく。
でもどこかで俺はきっと慢心していた。「まあAと過ごした時間が誰よりも多いのは俺」「近くにいるのは俺」なんて、そんな情けない気持ちに全て寄りかかっていた俺だから、ダメだったのかもしれない。
「…え？」
変だ。Aが変だと気づいたというか、可愛くなったのは、いつからだった？髪がなんか、あれだ、巻いてる？感じする、なんか目の上がキラキラしている、スカートが短い…ぞわりと背筋が粟立って冷や汗が止まらなくなって、なんでAがそうしているのかの理由ばかり探して、それで、俺は、
「ねえ、そういえば慎太郎の幼馴染、俺のバイト先で働くんだね」
「…は？」
なんて、どうしろって言うんだよ。この前から北斗のバイト先で働き始めていたAと、Aが変わった時期、丸かぶりで、何かにガツンと殴られた感覚がする。
…あ〜、そういう、ことか。北斗はかっこいい。勉強も運動もできるので本人は「俺は陰キャだからモテるわけない、告白みたいなやつは全部気の迷い」などとほざいているがモテているので多分Aも、きっと、これは、そういうことじゃん、終わったんだな、完全に。
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七瀬(プロフ) - lemonさん» わ〜！ありがとうございます！少しでも楽しんでいただけていましたら幸いです！たくさん更新できたらいいな〜と思ってますので最後までお付き合い頂けましたらうれしいです！ (2023年2月25日 19時) (
レス) id: 652635b4cf (このIDを非表示/違反報告)
lemon(プロフ) - ほんとにこの作品がだいすきで、 このきゅんきゅんがたまりません！！これからの更新も楽しみにしております！^^ (2023年2月22日 22時) (レス) @page16 id: b772619bf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七瀬
| 作成日時：2023年2月7日 22時
