謎*リドラー* ページ28
「私はエドワードが好きなのであってリドラーは好きじゃないの。」
暗い瞳で僕を見詰めながらそう答える彼女の口元には薄い笑み。
スッと彼女の頬に手を伸ばしても、前のように叩き落とされたりもしない。
「僕のことは嫌いかい?」
「大嫌い。今すぐにでも死んで欲しい。人格だけね。」
「傷付くな。でもエドワードは君の事を愛してないだろ。」
「かもね。でも少なくとも貴方を好きになる事はないわ。」
スルスルと肌の感触を楽しむようにして撫でても一向に彼女の顔色が変わることは無かった。
そこで少しだけ理解してしまう。もう僕は彼女の中で、感情を表すに値しない人間なのだと。
「ちなみに今は、誰を愛してるんだ。」
「ザーズ。」
「嘘だろ。」
「ホントだよ。話し掛けてないだけ。」
「奴はサイコパスじゃないか。」
「他人の事言えないくせに。」
くふふ、とおかしな笑い方をする彼女につられて僕も笑う。
彼女はベッドの上に、僕はベッドのへりに座っている。
もう少しだけ、もう少しだけ僕が力を加えて彼女を押し倒し、彼女の顔を枕に押し付けてしまえば。
運が良くて既成事実、もっと運が良かったら彼女の身体は永遠に僕の物。
きっと彼女も理解している筈なんだ。その上でわざと黙っている。僕を試しているのか、もうどうでもいいのか。
「Aチャンよ。」
「何、リドラーさん。」
「僕が消えたら悲しんでくれ。」
「…エドの前では喜んでも良い?」
「彼がそう望んだらそうして欲しいな。」
脱いでいたジャケットを手に取り立ち上がる。
彼女はベットから降りる事はなく、見送りもしないつもりらしい。
「楽しかったよ。」と告げて部屋のドアを開けると、後ろから「私も。」と短い返事が返ってくる。
少しだけニヤケながら部屋の外へと足を運び、ドアを閉める直前
「私も貴方を愛してた。」
なんて、幻聴紛いのか細い声が聞こえた。もう戻れないと知っている筈なのに。
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岡P(プロフ) - 初めて読ませて頂きました。どのお話もとても面白く楽しませてもらいました。これからも素敵な作品楽しみにしています。 (2022年3月9日 21時) (レス) id: eaa010ae17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もゆう | 作成日時:2020年4月30日 21時