正体*ガラハッド、マーリン* ページ20
「こんにちはガラハッド、エグジー。」
「どーも。」
「あぁ、こんにちはA。」
すれ違う度に挨拶を交わす程度の仲。
マーリンの傍にいつもいる彼女とはそれぐらいしか接点が無い。
ろくに話した事もないし、本当に彼女がキングスマンなのかも疑わしい。もしかしたらマーリンの贔屓で入っただけの女だったり…。
「ハリー、Aサンってさぁ、マジで俺らと同じ試験に合格してんの?」
「合格していなければ此処には居ない。…恋愛は原則禁止だぞ。」
「そんなんじゃねえし!何かさぁ、完璧すぎるってか、あの人が暴れてる所を想像できないよ。」
「彼女を甘く見ない方が良い。」
君レベルだったら一捻りだ。と意地の悪い微笑みを浮かべて振り返るハリーに苦笑いする。
「…という事があってな。」
「アハハ!ガラハッドにそう言われるなんて光栄ですよ。エグジーに今後避けられないか心配ですけれど。」
「なに、そこまで尻の穴が小さい男じゃないさ。」
下品!とまた笑い出す彼女。
隣では「いつの間にかこんなに大きくなって…」とまた泣き出し始めるマーリン。
「…マーリンと酒を飲むと何時もこうだな。泣き上戸は直らんか。」
「えぇ。マーリン!マーリン、私はもう23ですよ。いい加減にして下さい。ガラハッドの前で恥ずかしくないんですか。」
「口を開けばガラハッドばかりだなお前は…。昔はもっと…何か…うう。」
最後まで言い切らない内にまた泣き出す友人を肴に酒を飲む。
ここまで人を変えてしまうとは、やはり酒は恐ろしい。
ふと、彼女の手元に目を移し、背筋が凍った。
「A…その、瓶は?」
「え?あぁ、すみません。片付けますね。」
「…全部1人で?」
「えぇはい。何か?あ、心配しないで下さい。元来酒は強い方で、これぐらいは水ですよ、水。」
アッハハ、と高い声で笑う彼女と未だに泣く友人を見比べ、よくもまぁこの2人が出会えたとつくづく思う。
「君が良いなら止めはしないがね。やはり病気などリスクも常に頭に入れておかないと痛い目を見るぞ。」
「気を付けようとは思ってるんですけどねぇ…。」
うーん、と首を捻る彼女のグラスを取り上げ飲み干す。
途端に舌がビリリと痺れ、喉が焼け付くような感覚に思わず唸ってしまった。
「…こんな物を常飲しているのか?」
「…これからは本当の水を飲むようにします。」
流石にまずいと感じた彼女が反省したような声でそう呟く。
隣の友人は呑気にいびきをかきながら寝入ってしまった。
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岡P(プロフ) - 初めて読ませて頂きました。どのお話もとても面白く楽しませてもらいました。これからも素敵な作品楽しみにしています。 (2022年3月9日 21時) (レス) id: eaa010ae17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もゆう | 作成日時:2020年4月30日 21時