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49話 ページ4

瞼の裏が明るく染まる。


目を開けると隣に寝ているのは太宰さん。


「おはよう、Aちゃん」


状況が理解できず、暫く固まっていた。


「誤解しないでね? 君が私の手を離してくれなかったんだ」


私の左手は確かに太宰の右手を握っていた。


『あ…す…すみません!』


慌てて手を引っ込め、その勢いで起き上がる。


怠さはもう無くなっていたが、寝過ぎたのか身体が訛っている感じがした。


ふと左腕に触れるといつもの布ではなく、凸凹した皮膚の感触がする。


アームカバーがない。


異能力が発動した時に燃えてしまったのだろうか。


火傷を太宰から見えないように隠そうとすると、太宰に手首を掴まれそれを阻止された。


顔を近づけ真剣な眼差しで私の目の奥を覗き込んでくる。


まるで心の奥底を引き摺り出すような。


「そろそろちゃんと話してくれないかな。君の目的、本当の依頼、そして君の正体(・・・・)を」


『それは前にも話したでしょう? 目的は“匿って欲しい”って。正体も何も知ってるでしょうに。私はポートマフィア幹部蒲原有明の妹です。これで満足ですか』


「本当の事を話してくれ」


口調を強め太宰はそう云う。


『誰にだって話したくない事の一つや二つあるでしょう』


私も引き下がるわけにはいかない。


「Aちゃん」


低い声で名前を呼ばれ、掴む手に力が込められる。


目を伏せ、早口で云った。


『私は悲劇を終わらせる』


太宰は瞬き一つせず私を見つめている。


『その為にあの人を殺さなきゃいけない。


けれど、あの人は強い。


何回も殺そうとして返り討ちにあって…


それで何人の命も奪ってきた。


でも、太宰さんの異能力なら私を止められる。


相討ちになっても、太宰さんが私に触れれば……』


次に云う台詞を太宰が続けた。


「異能力が発動することなく、死ぬことが出来る…か。Aちゃん、君は」


『太宰さん、何も云わないで。もう決めた事だから』


不器用な笑顔でへらっと笑ってみせた。





()の悲願を叶えられるのは()だけだから』





その一言で太宰の瞳が大きく見開かれる。


太宰は何も云わずただ悲しそうに手を離した。


そこには赤く、手の跡が残っていた。

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四月朔日(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしています! (2017年4月17日 9時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
アサヤ(プロフ) - 雄牙さん» ありがとうございます! 更新頑張ります…! (2016年12月26日 23時) (レス) id: e442709ae5 (このIDを非表示/違反報告)
雄牙(プロフ) - とっても良いです!面白いです!最高です! 更新頑張って下さい! 応援してます! 頑張って下さい! (2016年12月26日 19時) (レス) id: 568d874e06 (このIDを非表示/違反報告)
アサヤ(プロフ) - χCielχさん» ありがとうございます!! 期待に応えられるよう頑張ります…! χCielχ様の方も盛り上がって来ましたね…! 朔くんはセシル君とはまた違った雰囲気があって好きです…! (2016年12月7日 23時) (レス) id: e442709ae5 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 続編、おめでとうございます!楽しく読ませて頂いております。これからも頑張って下さいφ(。。*) (2016年12月7日 18時) (レス) id: 8739b32233 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アサヤ | 作成日時:2016年12月6日 23時

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