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57話 ページ12

また、だ。


赤い華が辺りに咲き乱れる静かな空間。



普段と違い、今回は独りではないようだ。



華の中に誰か立っている。



「初めまして、やっと逢えたね」



幼い少女の声、何度か聞いた事がある。



「ねぇ」



声が近くなったかと思えば、目の前に少女が立っていた。



「“私の力”返してよ」



Aは大きく目を見開いた。



矢張り、そうか。
この子が私の心臓の主(ドナー)だ。



『ごめんね』



考えるより先に言葉を発していた。



「返して、私の力を。心臓を返して」



少女は責め立てるようにAの服の裾を掴んで引っ張った。



返せるなら返したいよ。
こんな力、要らない。



声にならない悲鳴で胸が張り裂けそうだった。もう限界だった。




少女の手を払い除けた。
我ながら酷い振る舞いだと思う。



「じゃあ、貴女の体を頂戴」



少女は無邪気な笑顔を向け、手を差し伸べる。



「私だったら異能も上手く使える。守りたいものも守れる。誰も殺させないよ。悪くないでしょ? だから頂戴」



冷や汗が背中をつうっと流れた。



死にたい訳じゃない。いつだって生きたかった。だから、怖くても移植を承諾した。
例えそれが前例が無くても、“異能者の心臓”だとしても。


誰も殺したくない。それなのに、この異能は生きようとすればするほど、誰かを殺してしまう。



矛盾を抱えてしか生きられない。
ずっとずっと苦しかった。





_____嗚呼、




_____楽になりたい






Aは少女の手を取った。





少女が妖艶に微笑んだ気がした_____

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四月朔日(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしています! (2017年4月17日 9時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
アサヤ(プロフ) - 雄牙さん» ありがとうございます! 更新頑張ります…! (2016年12月26日 23時) (レス) id: e442709ae5 (このIDを非表示/違反報告)
雄牙(プロフ) - とっても良いです!面白いです!最高です! 更新頑張って下さい! 応援してます! 頑張って下さい! (2016年12月26日 19時) (レス) id: 568d874e06 (このIDを非表示/違反報告)
アサヤ(プロフ) - χCielχさん» ありがとうございます!! 期待に応えられるよう頑張ります…! χCielχ様の方も盛り上がって来ましたね…! 朔くんはセシル君とはまた違った雰囲気があって好きです…! (2016年12月7日 23時) (レス) id: e442709ae5 (このIDを非表示/違反報告)
χCielχ(プロフ) - 続編、おめでとうございます!楽しく読ませて頂いております。これからも頑張って下さいφ(。。*) (2016年12月7日 18時) (レス) id: 8739b32233 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アサヤ | 作成日時:2016年12月6日 23時

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