悪徳警官の部下に弱味を握られました Ⅱ【hpmi】 (ページ17)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:12,316 hit

五十八縄目ページ17

銃兎side
暫くAの頭を撫でていると、Aの強ばった表情が緩んでいくのが良く分かる。
撫でられる、と言うものは俺やAのように両親を幼いときに亡くした奴等には、まだ子供心が飛び交い、嬉しさで一杯になる。
俺も親に頭を撫でられたのは何十年も前のことだ。
もう、あの手の暖かさなんて覚えていない。
また、撫でてくれたり…なんてな。
銃兎「さ、早く用意して下さい。仕事、遅れますよ」
『うげっ…もうこんな時間…』
家に帰って支度してくる！とAは自分の持ち物を持って行ってしまった。
シン、と静まる部屋。
何だかんだ言ってAが帰ってしまうと孤独感に襲われる。
銃兎「俺も用意しないとな…」
静まりかえった空間で一人、仕事の用意を進めた。

数十分後
用意が完了し、何時も通り出勤する。
組織犯罪対策部の部署に向かうと森やAの部下の加藤、吉田が異様にニコニコしていた。
何かあったのか？
銃兎「失礼、加藤巡査…ひとつ聞きたいことがあるのですが」
加藤「入間巡査部長…？どうか致しました？」
銃兎「何故そんなにもニコニコと笑っているのですか？何かあったのですか？」
加藤「今日、署長が帰ってくるんです！」
なるほど…あの署長が帰ってくるのか…それは大層な事だな。
銃兎「それは良かったです………ところで皇警部を見てませんか？もうそろそろ来ると思うのですが…」
そう言うと加藤巡査は酷く暗い顔になった。

加藤「じ、実は…皇警部は中王刑事局の邪答院仄仄さんに……」
サアッと体温が低くなるのを感じた。
【中王刑事局】その言葉を聞いた時に嫌な予感はしたが、まさか的中するとは思わなかった。
手に持っていた荷物をその場に乱雑に置き、一目散に部署を飛び出した。
森「じゅ、銃兎さん！？」
加藤「入間巡査部長！！？？」
後ろからそんな声が聞こえるが、関係ない。今はAの事が優先だ。

署内を走り、そのままヨコハマ警察署を後にした。
走りながらスマホを開き、左馬刻に電話をかける。
左馬刻《ンだ銃兎ォ！コッチは今忙し…… 銃兎《Aが邪答院仄仄に連れてかれたんだよ！》は？！》
銃兎《邪答院…いや中王区は元からAを狙ってたんだ！今から中王区に行くから万が一の時は頼んだぞ！》
左馬刻《はぁ！？おい銃…》ﾌﾞﾂﾝｯ

嫌な予感がする。

どうか無事で居てくれ…A……！