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ページ3

・・


『…A…色々…悪かったな…』

…お前だけでも__



『…お兄ちゃん…?…ねぇ…ねぇってば!!』

『…嫌だ、いやだよ…ねぇ!…お願い!』





「お兄ちゃん…っ!」


「…っ!?」



私ははっと目を覚ました。

…夢を見ていたのか?

心臓の鼓動が聞こえており、手を見ると握りしめていたのかじんわりと汗が滲んでいた。


私は息を整えては首を左右に動かし見渡した。

時刻は午前2時


あぁこんな時間に目が覚めてしまうなんて。

よりによってまたあの夢を見てしまうなんて最悪だ。






私の声に反応したのかノック音がして扉が開く。

そこには不安そうな兄の声が聞こえてきた。




松「…A!?…大丈夫か…!」


「お兄ちゃん……?」



電気はついていなかったががぼんやりと兄の姿が写り、傍に寄り添ってくれることを感じた。


松「さっき、俺を呼んだ声がしたが…」

「嘘…そうだったの? …ごめん、大丈夫だよ」



あの声は自分の声だったんだ。
聞こえる声って、どれだけ大きい声を出してしまったんだろうと思うと恥ずかしくなる。



松「おまっ……!全然大丈夫じゃねぇよ」

手を握られていたら途端に離された。

もしかして手汗酷かったかもと…苦笑いをした。


松「ったく、あんな声聞こえたら心配するぜ…何かあったのは知らねぇが…お前は無理をしすぎなんだ」



「……」

松「ほらよ、Aが眠るまでは傍にいてやる」


何も言わない私にお兄ちゃんは深く追求をすることははしなかった。


そういうところがなんか、ずるいって思った。

私を促すかのように身体を倒す。


「…あ、ありがとう…」



感謝の気持ちを伝えると一言だけだが「おう」と声が届いた。しっかりと手を握りしめてくれたおかげで、今度こそ眠りにつくことが出来た。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


A「…お兄ちゃ……ん」



松「…!」


Aが眠るまで手を握りしめたのかどうやら安心しきった表情を浮かべていた。

お前だけは何としても守ってやらないと。

俺に言わないだけで色々と抱え込んでいるはずだ。


髪に優しく触れると何となく優しい顔に変わっていた気がした。


その状態を確認して俺は部屋を出て自室に戻る。

眠ろうとしたが一向に眠れない。




松「……(…まさか“お兄ちゃん”と呼ばれるとはな…)」

悶々と頭を抱え始める。


想定外の出来事にまた考えてしまいはじめる。

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くらげ(プロフ) - 星さん» 星さん、ありがとうございます🥲︎♡楽しんでいただけて嬉しいです☺️これからも引き続きよろしくお願いします (1月5日 17時) (レス) id: a9ba311e8f (このIDを非表示/違反報告)
- 小説めちゃくちゃ面白くて大好きです!続きがとても気になります!更新楽しみにしています! (1月4日 5時) (レス) id: 5b6bab53ae (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ばなな。 さん» ありがとうございます🥲‎楽しんでいただけて嬉しいです。のんびり更新させて頂きます (1月3日 17時) (レス) id: a9ba311e8f (このIDを非表示/違反報告)
ばなな。  - とっても面白かったです!続き楽しみにしてます!☺️ (2023年4月8日 0時) (レス) @page34 id: d6be0d4c84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2023年3月22日 8時

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