吉原潜入捜査/あれ、意外とあっさり。 ページ36
吉原には自警団の警備をくぐらなければならない…
用心しなければ…気を抜いていればバレてしまう…
と、心臓をバクバクさせながら吉原へと足を踏み入れたというのに薙刀を持った自警団らしき人物が二人門の両端に立っているだけであっさりと吉原へ潜入できた。
茜(あれ?意外とあっさり…。もしかして私の変装の腕が上がったとか?)
周りを見回すと、ここは太陽が上がっていないため、暗いかと思いきやお店の提灯や灯りが道を照らし、例えるならば夜の街と見た目はさほど変わらなかった。
だが、何かが違う。
何かが足りないのだ。
かぶき町の夜の街にはあって吉原にはないもの…
____人の笑い声だ。
かぶき町は治安はとても悪いが、賑やかな奴らもその分多く、夜もとても賑やかで特に「すまいる」からはほぼ毎日と言っていいくらい近藤と松平の叫び声が聞こえる。
それが全くこの吉原には聞こえない。
響くのは遊女が客を優しく誘う甘い声
檻の中で客を手招きする遊女達の笑顔は本物の笑顔には見えない。
だが、完全には消えていない仄かに燃える何かを感じた。
男は天国、女は地獄
本当に言葉通りの場所だった。
茜は強く拳を握りしめる
これが"夜王"鳳仙の支配する吉原
鳳仙は女たちから太陽だけでなく笑顔まで奪ったのだろうか__?
そういえばと立ち止まり、一旦狭い路地裏へと入った
茜(これからどうしよう?)
客に扮したはいいものの、本当に遊廓に入る訳にもいかない。
やはりこれは取引現場とか行った方が手っ取り早いかもしれない。
すると、突如聞こえてきた話し声
声の低さからして男だろう。
「それで、来週の取り引きの件なんだが…」
「ククク…ではいつもの場所で」
茜は勢いよく走り出す
一人の腹に蹴りを入れ、男は呻き声を上げ倒れる
もう一人の男を羽交い締めにして首筋に剣先をあてた
「貴様ッ…!!何者…!?」
茜「動くな。喋るな。声を少しでも出せば命はない」
男は冷や汗をかきながら茜を見て震える
茜「質問に答えろ。お前はどこの組織の奴だ?関わってる組織の名前と居所洗いざらい吐いてもらおうか」
男は顔を青くしながら口を開きかけた
するとその時、周囲から感じる人の気配___
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作者名:あかお | 作成日時:2020年8月11日 3時