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夢見草篇/優しい手 ページ17

茜は勢いよく松陽に抱きついた


なんでここに先生がいるのか分からない。

あの時確かに松陽先生は…




でも、ちゃんと私をこうやって受け止めてくれているのは、他の誰でもない松陽先生なのだ。


「先生…うぅ…うぐっ…会い…会いたかったッ…!!」


「私もですよ。茜」

大きくなりましたね。と私を抱きしめたまま頭を優しく撫でる

嗚呼、昔と変わらない暖かい手

再び涙が込み上げてくる


「みんなは…元気ですか?」

「はい…銀時は変わらず。桂と高杉は…」


攘夷活動を続けている。

それを言おうか迷った。桂ならまだしも、
高杉は別だ。

過激派攘夷志士。
たった一人の男の死で世界を敵に回した男

それが自分のせいだと知れば先生はどう思うだろうか



「高杉は…」

下を向いて、口を噤んでいると再び頭を撫でられた

顔を上げると、嬉しそうに、けれども少し悲しそうな目をした先生がいた

「そうですか…。みんな元気そうで良かった。」

まるで全て分かっているかのようだ。


「茜も…髪が伸びましたね。本当に綺麗になった。」

私の髪を手でとく。

茜は嬉しそうに目を細める。涙が再び零れ落ちた


「先生、私達は…もう…昔には戻れないんですか?」



ずっと自問してきて…
それでも答えを見いだせなかったことだった


誰に聞いたとしても無駄だと思った。
たった一人を除いて


「私には分かりません。私にはもう止められない。
茜…あの子達を頼みましたよ」

そう言われ、顔をバッとあげる

なんでそんな言い方を___
まるで、もう会えないような。


「先生…私には無理です。私は結局あの三人の隣にも立てない。…何度追いかけてもあの人達はいつも私の先を行く」


「隣に立つことだけが、あの子達の助けになるわけではありませんよ。あなたにできることはもっとあるはず」

そう言い、先生が私の右手を優しく包む

ふわりと笑って
全く、無茶をして…と私の額に軽くデコピンをした


義手だと気づかれていた。
それが先生を助けるために失ったものだということも


「あの子達が倒れそうになった時、それを支えることができるのは後ろに立つ者だけです。隣に立つものは決して出来ない。___貴方にしか出来ない」

「あの子達を頼みます。____約束です。」

すると松陽は私の小指と自分の小指を絡ませた



しかし、同時に眠気が襲い視界がぼやけてきた



先生の声もだんだん遠くなってくる








待って…

私はまだ…あなたに伝えたいことが…

たくさん…

夢見草篇/ただの夢→←夢見草篇/松陽先生



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雪乃(プロフ) - 続き待ってます (1月15日 1時) (レス) @page25 id: 3057047a96 (このIDを非表示/違反報告)
美結菜 - とても面白いです!続き楽しみにしています! (2023年2月15日 19時) (レス) @page25 id: f842e5f119 (このIDを非表示/違反報告)
tmailes(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。更新楽しみに待ってます! (2021年5月19日 1時) (レス) id: ece380cb29 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あかお | 作成日時:2020年11月8日 19時

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