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夜は嫌いだ。特に一人の。
小さい頃から仕事人だった両親は、
夜、家にいない事が多かった。
だからなのか、夜になると、会いたくなる。
誰かに。………紫耀さんに。
お風呂から上がり部屋で時計を確認する。
そろそろかなと思った時、携帯が震えた。
『もしもし』
「お、ワンコール。
段々早くなってくなあ」
少し眠そうな声色。
その後に大きな欠伸が聞こえ、つい口元が緩む。
『眠たいですか？』
「うん、ちょー眠い」
『寝てください！』
「寝れへんー
俺に今何してるか聞いて」
『…何してるんですか？』
「パソコンのキーボード、ひたすら打ってる」
『…ええ』
「仕事って嫌や。大人って嫌や。」
今どんな顔をしてるんだろうと、
想像を膨らませて、幸せになる。
紫耀さんと電話してるだけで、
一人の夜も寂しくない。
『紫耀さん』
「んー？」
『………今から、会えないですか？』
寂しさが無くなれば、
次は無性に会いたくなって。
眠そうな顔も欠伸をする姿も、
全てをこの目で見たいと貪欲になる。
「今から？」
しかし、忙しいと知っていて
こんな事を言うなんて、と言ってからすごく後悔。
『…あ、やっぱ、大丈夫です。
忙しいし……ごめんなさい』
ペコリと、見えもしないのに
ついお辞儀をする。
「いいよ」
『…え？』
「会えるよ、今から」
『で、も……時間とか、…』
「Aは俺に会いたい？」
『……会いたい、です』
「はは、じゃあ会いに行く」
『…っ、』
「Aに会いたいって言われたら、俺、いつでもどこにでも駆けつけちゃう」
紫耀さんは、甘い人だ。
それでいて、大人で落ち着いていて、
誰よりもずる賢い人だ。
そして、嘘をつかない人。
「待ってて」
優しい声が電話越しに響く。
体の力が抜けて、心臓がドクンドクンと動く。
あまりに優しくて、
愛されているのだと
錯覚してしまいそうだ。
それからすぐ、再び携帯が鳴り
紫耀さんから '' 降りてきて '' とメッセージが届いていた。
ただ会いたい一心で、玄関を飛び出すと、
スーツ姿の紫耀さんが家の前に車を止めて立っていた。
「パジャマ？」
『…あ………、』
「可愛いなあ。疲れも吹っ飛ぶわ」
ふわりと、頭を撫でられる。
その反動で、紫耀さんを見上げると
彼の瞳に自分の顔が映る。
その後ろに、大きな満月が見えた。
『満月って、初めて見たかもしれないです』
思わず声に出せば、
紫耀さんの手が止まった。
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林檎(プロフ) - はじめまして！最初にこの作品を見つけて呼んだ時は月光インセストを読んでいない状態でしたが、月光インセストを読んでからこちらを見るとより一層切なくて面白かったです！本当に大好きです！更新無理のない程度にお待ちしております！！ (2020年11月3日 15時) (
レス) id: 96ebd3d640 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 月光インセストもこの作品もすごく好きです！主人公はどんな人なんだろうって、きっとすごく魅了的なんだろうなと思うし、主人公以外を女だと思ってないって言い切れちゃう廉くんもめちゃくちゃカッコいいって思いました！紫耀くんにも幸せになってほしいです (2019年8月17日 21時) (レス) id: cc08c80ce0 (このIDを非表示/違反報告)
みにれお(プロフ) - 続きがすごく気になります！ぜひ更新してください！！！ (2019年8月13日 17時) (レス) id: 17710468a0 (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - 続きが気になります！更新お願いします！m(_ _)m (2019年1月12日 0時) (レス) id: 2bc913fedf (このIDを非表示/違反報告)
Mt.Wind Bell(プロフ) - 更新楽しみに待ってます( ´ ` ) (2018年12月15日 8時) (レス) id: 4eba5a31cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：C-N | 作成日時：2017年2月5日 1時
