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「へ、へえー、すげえな。」
驚いた優太の表情が、
ゆっくりと歪んでいく。
『あの日から、毎日連絡くれるんだ。
仕事、今すっごい忙しいのに。
それでも毎日、掛けてきてくれる』
「…良かったな、」
『……良かった、よ』
本当…
良かったよ。
一条家に生まれてこれて。
でなきゃ、紫耀さんは 私になんて見向きもしないでしょ？
『心が、ほしいってワガママなのかなあ』
「…は？」
『紫耀さんね、お金が欲しいの。』
「な、に、言ってんだよ」
『資金援助ってやつ？』
ふっと、自嘲気味に笑う。
そんな私を見て、優太が顔をしかめた。
「付き合うのか？」
『……分かんない』
「…好きなんだろ？」
コクリと頭を縦に振る。
「なら、使える権力は全部使えばいいじゃん」
『…っ、』
「愛なんて、誰にもわかんねえよ」
『…優太？』
「好きならカッコつけんなよ」
見た事ない、優太の表情。
強い眼差しが真っ直ぐに私を射抜く。
ぐちゃぐちゃな感情が抉られていく。
「幸せだと思えよ。
好きな奴が自分を見てくれる事。
尽くそうと、愛そうとしてくれる事。
金だの権力だの、んなもん気にすんなよ」
喉の奥が、じわりと熱くなる。
涙だけは流すまいと、それが自分のプライドだと思っていた。
しかし、ここに来て、
抑えられない涙が、ポロリと頬を伝う。
……私、最強にカッコ悪い。
唇を強く噛み、下を向く。
その刹那。脳裏に浮かぶ優しい笑顔。
''「……唇、噛んだらあかん」''
''「俺が好きな顔に、傷が付く」''
紫耀さんは、私の事が好きな訳ではない。
しかし、彼女になってほしいと言われた。
思い出す、その表情。
その笑顔の裏にたくさんの物を抱えている。
しかし、素顔を隠すのが上手すぎて、
誰も触れる事ができない。
『…優太、』
「ん？」
『カッコつけるの、やめる。
変なプライドとか全部捨てる』
彼が私を見てくれているだけで…
それだけで奇跡ではないか。
『それで、素直になる。』
その瞬間、頭にふわっと乗った綺麗な手。
その手がそのままワシャワシャと動く。
「ん。」
風が吹き、髪が靡く。
それと同時に心地よかった優太の手が元の位置に戻る。
「女は、愛されるべき生き物だと思うぜ」
そう言った彼は、
ついさっきまで私の頭に乗っていた手を
ぼんやりと眺めていた。
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林檎(プロフ) - はじめまして！最初にこの作品を見つけて呼んだ時は月光インセストを読んでいない状態でしたが、月光インセストを読んでからこちらを見るとより一層切なくて面白かったです！本当に大好きです！更新無理のない程度にお待ちしております！！ (2020年11月3日 15時) (
レス) id: 96ebd3d640 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 月光インセストもこの作品もすごく好きです！主人公はどんな人なんだろうって、きっとすごく魅了的なんだろうなと思うし、主人公以外を女だと思ってないって言い切れちゃう廉くんもめちゃくちゃカッコいいって思いました！紫耀くんにも幸せになってほしいです (2019年8月17日 21時) (レス) id: cc08c80ce0 (このIDを非表示/違反報告)
みにれお(プロフ) - 続きがすごく気になります！ぜひ更新してください！！！ (2019年8月13日 17時) (レス) id: 17710468a0 (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - 続きが気になります！更新お願いします！m(_ _)m (2019年1月12日 0時) (レス) id: 2bc913fedf (このIDを非表示/違反報告)
Mt.Wind Bell(プロフ) - 更新楽しみに待ってます( ´ ` ) (2018年12月15日 8時) (レス) id: 4eba5a31cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：C-N | 作成日時：2017年2月5日 1時
