チョコミントフラペチーノ クリーム多め

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その言葉に、私は慌てて瞼を開く。

泊まる！？

いきなり、そこ！？

目を丸くして半身を起こした私を、まだ北斗は優しく微笑みながら眺めてた。

「着替えは俺のを使えばいいし。
明日は休みだから、ゆっくりできるし。」

いやいやいやいや。

そうじゃなくて。

お泊まりだよね？

そんな、男友達が遊びに来て「じゃあ泊まってく？」的なノリでいいの？









「泊まるなら、一回自分の部屋に帰りたいんだけど。」

「何で？」

「着替えとか必要だし。」

「貸すって。」

「下着とか…。」

「近くにコンビニあるよ。」

って、何？

その畳みかけるような回答は。

「あのさ…。
彼女が泊まりに来たのに、一旦家に帰すとかありえなくない？
そんなの興醒めじゃん。」

興醒めって！

「いいから、行くよ？」









そう言って連れてこられた、本当にすぐ近くの銭湯。

北斗は楽しそうに、銭湯の前で目をキラキラさせて、こう告げた。

「３０分後にここで待ち合わせね。
早く出たとしても、外で待つなよ？」

「何で？」

「湯冷めしちゃうから。
あと、髪はしっかり乾かしておいで。」

って、まるで保護者みたいな言い方で。

男湯と女湯は別入り口で、北斗は男湯から入ると、番台のおばさんに、

「彼女と一緒で。」

と、私の分まで代金をまとめて払ってくれた。

…さすが、来慣れてる！









銭湯に来るのは初めてで、何もかもが珍しくて仕方ない。

水色のタイル張りの広い浴槽だとか、無駄に熱い水温とか、ビリビリしちゃう電気風呂とか。

あまりに楽しみ過ぎて、３０分以上経っているのに気付いてなかった。

慌てて脱衣所で着替えてたら、

「A、まだ？」

って番台の向こうから北斗の声が聞こえてきた。

「彼氏、もうだいぶ待ってるよ。」

番台のおばさんにそう言われて、髪を乾かす暇もなく外に飛び出した。

「髪、濡れてんじゃん。」

さんざん待たされたのに、北斗は目を細めて自分のタオルで私の髪を拭き始める。

帰り道も北斗はご機嫌で、

「こういうのよくない？
昭和の同棲カップルみたい。」

とか言いながら、手をつないで歩く夜道は、変に私をドキドキさせた。

…てかさ、初めてのお泊まりがコンビニで買った下着とか嫌なんだけど。

出来れば部屋に着替えに帰りたかった。

…だけど、今夜そういうことがあるとは、とても思えない。

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