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三時間目 ページ4

「『幸せのサチコさん』って言うんだけど…」
「何?また怖い話とかやめてよね…!」

震えながら言うトド松君を見て、少し笑いながら否定する。

「違うよ!ネットで見たおまじないなの。これをやると、友達みんなが一生離ればなれにならないんだって」
「面白そう!トト子もやる〜!」
「フッ、永遠の友…フォーエバーフレンド…か…」
「クソ松うるさい」
「で、どうやるの?」

チョロ松君が私に聞く。

「まずは、これをみんなで掴むの」

そう言いながら、私はカバンから紙人形を取り出す。

「何処でも良いから、一ヶ所掴んで!」

その言葉に、みんな自然と輪になった。

「それで、心の中で人数分…えっと、今回は10回だね。10回、『サチコさんお願いします』って唱えるの。口に出したら駄目だよ。あと、間違っても言い直さないこと!」

私が言うと、みんなは真剣に頷く。

「いい?…せーの!」


教室に沈黙が訪れる。

「…唱えたよ!!」

十四松君が元気に言う。

「…それで、どうするの?」

あつしくんが軽く首をかしげて私を見た。

「そしたら、みんなで人形を爪を使ってしっかり付かんで…引きちぎっちゃうの!」
「…大丈夫なの、それ」

少し不安そうな一松君に、そう書いてたから合ってると思うよ、と返し、人形に向き直る。

「行くよ!せーの、はい!」


ビリッと小気味の良い音を立て、紙人形がバラバラになる。

「…お疲れ様!後はこの切れ端を肌身放さず持っていてね!」

みんなが紙切れをそれぞれ仕舞ったり眺めたりする。

こんな風に会話できるのも最後なんだと思うと、自然と涙が溢れてきた。

「Aちゃん、大丈夫…?」

にゃーちゃんが優しく背中を擦ってくれる。

「ぐすっ…あり、がと…!…みんなのこと、私、忘れない、から…!」
「大袈裟だなー、また冬休みとかになったら会いに行く予定だし!」

おそ松君がそう言って笑う。

「そうだよ、Aちゃん。次会うときまでにもっと怖い話仕入れといてね!」
「ちょ、ちょっとやめてよチョロ松兄さん!」
「フッ、トド松。夜トイレに行けなくなったら何時でも頼っt」
「うるせえイタ松兄さん!」

ギャアギャア騒ぐみんなの横で、十四松君と一松君が何かを小声で話している。
なんの話だろう、と耳を傾けた。









その時だった。

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作者名:RAN丸 | 作成日時:2017年3月21日 13時

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