十八時間目 ページ22
「…じゃあ、橋本さんも誰にも会ってないんだね?」
「うん…怖かった…。ここ、なんだか寒いし…扉とかも開かないし…」
背後の二人の会話を聞きながら、俺は歩く。
スマホの明かりで廊下を照らしながら。
「…あれ?おそ松くん、スマホ持ってたっけ?」
レイカが俺の横に並び聞いてくる。
「ん、ああ。これトド松の。ちょっと用があって借りてんだ」
返事をしながら電池残量を確認。
…もうすぐ30%切りそうだな。
「それで外に連絡出来ないの?」
「僕達もそう思ったんだけど、駄目だった。圏外みたい」
誰もが最初に思い付くだろうその疑問に、今度はチョロ松が答える。
「……ねえ、おそ松くん」
と、話題がなくなり静まり返っていた空間を盛り上げようとしたのか、レイカが口を開いた。
「おそ松くんってさ、弱井のこと好きなの?」
「えっ!?」
急に投げかけられた質問に、肩が跳ねる。
「ふふ、図星?」
ニヤニヤと、レイカは意地悪く笑う。
「お前なあ…」
「なんか、六つ子みんな弱井と仲良いけどさ、おそ松くんだけ、違うんだよね。目が」
女の勘だけど。と、彼女は小さく付け加える。
「…そーいうお前はどうなの?好きな男居るんじゃねーの?」
そう言って、俺がちらりとチョロ松を見ると、レイカは顔を真っ赤にしてポカポカ殴ってきた。
こいつら実は両思いなんだよなー。
周りは結構勘づいてるけど、本人達はいつ気付くんだろ?
「…そういえば、一松はAちゃんのこと好きだよね」
疎外感を感じていたのか、チョロ松が無理やり話題に入ってきた。
「でもAちゃんってトド松と仲良くなかった?」
「本人はトド松くんは怖がらせがいがあるからーみたいなこと言ってたよ」
「っていうか、十四松はあの子とどうなったの?」
「あの子?」
「おそ松くん知らないの?5組の三つ編みの…」
「あー!あの子ね!たしかに十四松とよく一緒にいたけど…」
「兄さん知らないの?告白したんだって」
「マジで!?」
そんな風に話していたときだった。
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作者名:RAN丸 | 作成日時:2017年3月21日 13時