休み時間 ページ14
【カラ松side】
「ざっと見て回ったが…ここは学校、みたいだな」
教室のドアを引いて中に入り、辺りを探索していたらしいあつしくんに話しかける。
「…そっか。外に出られそうな場所は?」
「一応下に続く階段はあった…が、無事昇降口に行けたとしても、帰れるという保証はないな」
言いながら、視線を下げた。
さっきと変わらない体制で寝ているトド松に少し安心する。
…他の兄弟達は無事だろうか。
そう思ったとき、地面が揺れた。
咄嗟にその場にしゃがみ込むが、そこまで大きなものではなくすぐに治まった。
__じゅ…ま、つ……!!
「っ!!」
はじかれたように立ち上がる。
「…カラ松君?」
「一松の声だ」
そういうが、あつしくんは首を傾げただけだった。
俺だけに聞こえたのか、あつしくんが聞き取れなかっただけなのか分からない。
…だけど、空耳じゃないことだけは確かだ。
トド松の方を見る。
さっきの揺れでも起きなかったらしい。目は閉じられているが、規則正しい呼吸音が彼が生きているということを証明してくれている。
トド松の頬にかかった埃を軽く拭い、自分の着ていた学ランを掛けた。
「トド松を頼む」
「……え?」
「すぐ戻ってくる」
そう言って、俺は教室を出る。
呼び止める声が聞こえたが、振り返らずに廊下を駆けた。
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作者名:RAN丸 | 作成日時:2017年3月21日 13時