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「な、んでそんな事言うの」




絞り出した声は自分が思うよりも弱々しくて、
目の前の阿部ちゃんが嘲笑うように私を見てるのがわかる。



怒ってるような切ないような・・・そんな顔。




「今まで、上手くやってたじゃん私達」




本当はほんの少しだけ気づいてた。
メンバー愛以上の気持ちを向けられてる瞬間に。
でも・・・気づかないふりをしていたの。
だってそのルールこそが、私にとってもストッパーだったのだから。




阿「…先に"恋愛"を持ち出したのはAでしょ?」

「っ、」

阿「ねぇ、ふっかの事本気で好きだったの?」

「そ、れは」




カラン、と氷が溶けた音が響いた。




阿「…俺ならAを悩まさないのに」





ボソッと阿部ちゃんが呟いた言葉が耳に残る。





阿「俺は…ふっかみたいに鈍感じゃないし、翔太みたいに強引じゃないし、照や佐久間や舘さんみたいに優しくもないよ」

「そんな事っ、」

阿「…怖いんでしょ?誰か1人にしてって言われるのが。…俺らの中から1人を決めるのが。だって答えはとっくに決まっていたんだから。」

「っ、」





・・・あぁ、思い出した。
あの時、私が何を感じて何に涙を流していたのか。




阿「残念だけど…ふっかは全部知ってるよ」




その思いを封印してそれでも耐えられないほど辛くて、縋り付いてしまったあの手の事も。

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作者名:えんちゃん | 作成日時:2020年10月26日 0時

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