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「いーやっ!ふっかの顔は化け物だね!!」
「誰が何処を如何見たって俺はイケメンですー!」
「何を根拠に…?」
「毎朝鏡が教えてくれる」
「天使と悪魔を逆に写す魔法の鏡かなんかかな??」
キャンキャン!と少年にですらまるで小学生と思わせる様な下らない言い合いを続ける二人の元に、女性が二発の大きな発砲音を鳴らし、弾が飛んで行った。
弾は二人に当たる直前で、透明な何かに弾かれた様に足元から少し離れた所にカランと転がる。
それは、“ 様に ”ではなく、実際に阻んでいた。
「なーにお姉さん、未だ喋ってる途中でしょうが」
女性に顔を向けた深澤の顔は、優しい笑顔を浮かべている筈なのに、何かが違った。女性が小さな悲鳴をあげる。少年も、女性も、周りの大人や子供達も安易に気付いた。
“ 彼は怒っている ”
女性は自分が深澤に怯えたと気付くと、それを振り払う様に激昴した。声が震えていることには、知らないフリをして。
「なにをごちゃごちゃと喋って、邪魔すんじゃないわよ!
この餓鬼共がお前等のせいで死ぬよ!
傷付けたくなかったら、両手をあげてその出口から大人しく出ていくことね!?」
女性が持つ銃の銃口は、深澤が手を振った彼、少年に向けられた。やっと落ち着いた心も、少年は今死ぬかもしれないと言う状況に一瞬で帰って来た恐怖を、どうすればいいかも分からず頭が真っ白で。ただ向けられた銃口を見詰める。
そんな中、呑気に声を上げたのは佐久間だった。
「えー困るんですけど!
今日一日預かってってそのコの母親から頼まれてるしー、この街居心地良いから俺出禁にされたくなーい!」
魔女は希少。そして何より力を持っている。
人間は理解の出来ないものが怖い。未知なものが怖い。
それは彼ら魔女にも当てはまる訳で、普通の人間の大半は、魔女の存在を恐れている。
彼らの様に、村全体とは言わずとも、魔女であると言うことを認知した上で、何人もの魔女が固まって住処を持ち、普通の人間の様に交流しながら普通の生活を送ることは、安易では無いのだ。
「今直ぐこのコ等にかけた鍵を解いてこの街から出てってくれんなら、佐久間さん優しーから見逃してあげなくもないよん。ってわけで、降参してくんない?」
佐久間が説得を試みるも、魔女狩り達には魔女狩り達なりの意地がある。つまり?
彼女は、引き金にかけた指を引き、少年は目を瞑った。
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作者名:Ju | 作成日時:2020年11月28日 8時