薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ6)

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256話ページ6

壬氏(ジンシ)「どこへ行っていた？」

猫猫(マオマオ)「診療(しんりょう)所です。あんなところあったんですね。」

壬氏(ジンシ)「、、、女官には初めに案内するように言ってあるが、漏(も)れていたのか？」

A「いえ、そういう訳ではありません。後宮入りしたとき、私達不貞腐(ふてくさ)れていたので、、覚えていなかったのです。」

　なんだか妙(みょう)に深刻(しんこく)そうな顔をする壬氏(ジンシ)。

　Aは少し焦(あせ)って訳を話す。

A「(たまにこういう顔するんだよな。自分の仕事に自信が無くなるのか？)」

猫猫(マオマオ)「思った以上に良くできた場所だったので驚(おどろ)きました。むしろ、あそこを医局にした方が良いのでは？」

　いや、それだとやぶ医者の首が飛ぶ。

　それどころか薬師二人のさぼり場が無くなってしまう。

　猫猫(マオマオ)は発言を訂正(ていせい)しようとするが、またもや壬氏(ジンシ)が眉(まゆ)を下げる。

壬氏(ジンシ)「あれが医局だったらか。それができていれば苦労(くろう)しない。」

猫猫(マオマオ)「どういうことですか？」

A「前に水蓮(スイレン)さまから聞いたんだけどね、医官は男しかなれないんだって。基本、医官にしか薬は煎(せん)じられない。擦(す)り傷ならいいけど、大怪我(けが)の処置はだめらしい。」

猫猫(マオマオ)「(そういうことか。)」

　猫猫(マオマオ)は納得(なっとく)した。

猫猫(マオマオ)「私達、薬扱(あつか)ってるけど、、」

A「そこは目を瞑(つぶ)って頂いてるの。妃の中には私達みたいに薬に詳(くわ)しい人を側に置くことは少なくないんだけど、、きっとあの場所は明確すぎて薬は置けない。他にばれたら首が飛ぶもの。」

　Aがそういうふうに言うと、頭を麗(うるわ)しき主が撫(な)でる。