薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ30)

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280話ページ30

安氏(アンシ)「ああ、待って。あなた、、」

　Aが呼び止められた。

A「、、？」

　面識などないAが何故呼び止められたのか全く分からない。
　面倒事ではないことをただただ祈るA。

安氏(アンシ)「あなた、確か壬氏(ジンシ)のもとより手配された侍女よね？」

A「はい。さようでございます。」

　Aは頭を下げる。

　ただの毒見役に一体なんの用か。

　そして、何故壬氏(ジンシ)から手配されたことを知っているのであろうか。

　聞き返したいところだが、胸の中にしまっておくA。

安氏(アンシ)「水蓮(スイレン)から聞いたの。しごきがいのある子がまた後宮に戻ったって。水蓮(スイレン)は昔、私の侍女をしていたから。」

A「、、(なるほど。)」

　そして、ちらりと皇太后は玉葉妃(ギョクヨウひ)を見る。

　察しの良い玉葉妃(ギョクヨウひ)は、皇太后が何を言いたいか分かったのだろう。

玉葉妃(ギョクヨウひ)「安氏(アンシ)さま、申し訳ありませんが、ちょっと公主(ひめ)を寝かしつけてきてもよろしいでしょうか？」

　祖母と遊んで疲れたのであろう。

　公主(ひめ)はうとうとし始めている。

　乳離れはもう済んでいるが、退室する理由にはぴったりだ。

　そうしてAと皇太后をの残し、玉葉妃(ギョクヨウひ)とその侍女たちは退室した。

安氏(アンシ)「本当、察しのいい子ね。」

　少し呆(あき)れたように言う皇太后。

　嫁姑(よめしゅうとめ)というよりは、年の離れた友のようである。

安氏(アンシ)「さ、あなたも座って？」

A「失礼いたします。」

　Aも指示通り椅子に座る。

　
安氏(アンシ)「いろいろな問題を解決しているようだけど」

A「私は、自分の知識の中で、情報を提示しているだけですので、、」

　Aはたまたま知っていた事を教えてるだけだ。

　それを教えてくれた親父はとても博識だと思う。