薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ22)

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272話ページ22

A「(おやじと猫猫(マオマオ)にはわかる？どういうこと、、おやじと猫猫(マオマオ)聞けばわかるということだろうか。)」

　とても大きな助言をくれたのはいい。

　一方でAはきゅっと口を尖(とが)らせた。

　二人にはわかるけど、おまえには無理だと言われている気がした。

A「(確かに、おやじと猫猫(マオマオ)はすごいけど、、)」

　自分が侮(あなど)られていることに気づきむっとする。

　分かっている。

　分かっているのだ。

A「(おやじはすごい。一緒に育ったけど私より長く薬に触れている猫猫(マオマオ)は、私よりも優れている。そんなの、とっくに分かってる。あー！！)」

壬氏(ジンシ)「おっ、、」

　ぺしっと両頬(ほほ)を叩いて、考え込んで自分で落ち込みそうなのを切り替える。

　それに驚(おどろ)いたのか壬氏(ジンシ)は小さく声をあげる。

A「、、ん？」

　Aは思い出した。

　国の最初の物語に出てくるのは初代皇帝の母である。

　そこに父親の描写はない。

　普通なら、そこでは母の血筋を重んじるものだ。

　しかし、この国は男子による世襲制(せしゅうせい)をとっている。

　つまり、男系。

　『王の子よ、だが、国母の子ではない』

　この「王の子」とは、男系を示していることになる。

　男の子どもは父親、女の子どもは母親の因子(いんし)を引き継(つ)いでいると言われているからだ。

　ずっと、直系の男が帝になっていた。

　途中女もいたが、長くは続かなかった。

A「(もし、王母の血を残すのであれば、、、？)」

　先帝は末子であったが、兄君たちが流行病で若くして身罷(みまか)られたことで皇位についた。

　先帝だけが生き残り、ほかの兄弟が皆死んだことで女帝が暗殺したと噂される話だった。

A「(いや、それはもしかして)」

　Aは、老宦官、皇帝、壬氏と見回し、壬氏(ジンシ)の前に立った。

A「壬氏(ジンシ)さま。先の主上の御兄弟は、皆、同腹だったのでしょうか？」

　いきなりきた質問に壬氏(ジンシ)は首を傾げたが、一呼吸も置かぬうちに答えを返してくれた。