薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ20)

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270話ページ20

Aが言うと、老宦官はにこやかに笑う。

老師(せんせい)「王母も女帝も女性ですよ」

A「そ、そういえば、、そうですね、、(逃げるの失敗した)」

　Aはうつむいて、ついていく。

　廟(びょう)の入口に入ると、そこには大きな空間があった。

　三つの異なる色の扉があり、その上に看板のようなものが掛かっている。

　『赤き扉を通るべからず』

　猫猫は目を細める。三つの扉は青と赤と緑が並んでいる。まめに手入れをされているのだろうか、扉の色は鮮明だった。

老師(せんせい)「どの扉を選びますか？」

　老宦官が顎(あご)を撫(な)でながら言った。

　帝は首の裏を掻(か)きながら、青い扉へと向かう。

帝「前は緑を選んだからな」

老師(せんせい)「さようでしたね」

　皆、青い扉をくぐる。

　すると、狭い廊下を通ったのち、次の部屋に入るとまた三つの扉と看板があった。

　Aは首を傾げながら、一応看板を確認する。

　『黒き扉を通るべからず』

　今度は、赤と黒と白の扉が並んでいた。

　どれも色がしっかり塗り直されている。

　ほかの壁(かべ)や柱は煤(すす)けているのに、扉(とびら)だけ丁寧(ていねい)に塗(ぬ)られている。

老師(せんせい)「毎回、管理するのが大変なのですよ。使われなくなったと思ったら、いきなりやってくる御方がいるものですから」

　扉を塗り直しているのは、この老宦官らしい。

　わざとらしく肩をとんとん叩く。

　帝は髭(ひげ)を撫でて、今度は赤い扉をくぐった。

　するとまた廊下に出て、次の部屋に入る。また、三つ扉があり、同じような設問が掲げられていた。

　それが何回続いただろうか。

　閉めきった室内は風がなく暑かった。

　廟(びょう)の中はかなり複雑な構造になっていた。

　戻ったり、時折階段を上ったりしていると、方向感覚が狂いそうになる。

　途中、別の部屋の扉があって合流していることが分かった。