ライアー 【Sho】

Liar 14 ページ14

.









「…ひどい、」







「これ絶対平野くんのファンだよね」









休んだ次の日の朝








教室に入り私の席へと向かうと、机がペンで落書きされていた









"悲劇のヒロイン"







"ブス死ね"








"弱者のフリ"









私はその内容を見てただ呆然としているだけだった









状況がよく分からない








机を落書きされたことに怒りも出なければ涙も出なかった









「Aのことよく知りもしないで、ふざけんな！！」









そんな中、あすみだけは私の机の落書きを一生懸命に消してくれていた









ごめん、あすみ

心配させて……









「……」









その様子を雪と奈々はただ黙って見ていた









.









.









「どうした？今日は元気ないな」








『え？そんなことないよ！』









いつも通り、私は紫耀がいる桜の木の下に来ていた







今朝の落書きの件で気を取られすぎていたのだろう




浮かない顔を見せていたようだった









『あ、それより紫耀はこれ貰った？

私、休んでて今日貰ったんだけど、』









そう言って紫耀に渡したのは進路希望調査の紙だった







私達は高校3年生







将来進学するか就職するかこの学年になって頻繁に聞かれるようになっていた









「……さぁ？」








紫耀は初めてみたような目で紙に目を通していた









まぁ、紫耀はそうだよね…







サボってばかりの紫耀が貰っているはずがない









先生もきっと大変だろうな









『皆結構決まってるんだって〜

あすみは保育士だし、雪と奈々ちゃんは美容師

廉くんにいたってはノーベル賞取りたいんだって！すごいよね



…私、何も無いなあ」









皆それぞれ夢があるんだ…






そんなの今まで考えたことなかった









自分から持ち出した話なのに何故か自分で言ってて虚しくなってきた

Liar 15→←Liar 13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す