欺ききれなかった道化 ci ページ21
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SHRが終わってから既に一時間。クラスメイトの殆どは部活に勤しんでいるであろう。そんな中、無所属の私は教室に残っていた。
そして、私ともう一人。普段の喧騒は幻かと思う程、静かな教室で気になっていた人と二人になった。
気になる人。___橙山くん。
何で、って言われたら分からない。ただ、気になる。
『…橙山くんってさ、』
「んー？」
『凄いね。』
「え？何が？」
いつも見てて大変そうだなって思うの。
だって橙山くん、ずっと笑ってるから。
楽しくなくっても、どんな時もにこにこしてるから。
そう言えば、更に胡散臭い笑みを深める。
「…えー？俺ちゃんと楽しいから笑ってるで？酷いわあ」
『ううん。いや、ちゃんと笑ってる時もあるけど、クラスにいるときは殆ど本気で笑ってないでしょ？』
「そんなことないって！」
けたけたと声を上げるが、私には全く楽しそうに見えない。
『ほら今も。』
ぱたり。突然声が止み、放課後の二人きりの教室には、場違いな吹奏楽部の演奏が高らかに響く。
「……はあ、なんやねん。やりにくいわ。」
『わ、それが本性？』
見た事ない橙山くんの表情。何の感情も読み取れない視線と、いつも上がっている口角は真っ直ぐになり、冷たさすら覚える顔。
「お前には猫被る必要が無さそうやから。」
『…やっぱり凄いね。』
「あ？何がやねん」
如何して何だろう。
『私ね、楽しくない時笑えないの。』
「大体の人間そうやろ。」
『でもみんな愛想笑い出来る。周りの空気に合わせて表情作れるでしょ。私はそれができないから。』
『橙山くんは周りの子と比べて
私は周りから無表情、とよく言われる。
別に怒ってもないし、つまらないという訳でもない。普通に生きているだけなのに、無表情で怖いと言われてしまう。
だから、橙山くんは凄い。例え嘘だったとしても、それは空気を壊さない為の、必要な嘘。
隠しきれる演技力。ずっと続けられている忍耐力。
私にはそれが無いから、羨ましい。
「…それ褒めてないやんな」
『え、』
「気持ち悪いやろ。こんなん殆ど二重人格や。」
自虐的に自身を嘲る。
『気持ち悪くなんか無い。』
『だって、橙山くんのそれは、優しさでしょ。』
「…は？」
怪訝そうな視線が飛んでくる。
…今日はいい日だ。色んな橙山くんが見られて。
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みりあ - はー、すぅ、ファー😇 (2022年8月1日 19時) (
レス) @page17 id: c7129416ce (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 私にもそんな甘酸っぱい青春ありません(ﾆｯｺﾘ)あとこれ面白いです！頑張ってください！ (2021年4月26日 12時) (レス) id: 804ec0cc68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろあ | 作成日時：2021年4月13日 20時
