1話 ページ2
「逃げろ禰豆子逃げろ!!」
炭治郎は鬼である妹を殺されまいと、全力で声を出す。その時だった。
「はぁ、面倒だ」
酷く気怠げな女の声が聞こえた一瞬を最後に炭治郎の意識はなくなった。
「あー、カナヲ、だっけ?あの鬼を頼んでいいか?」
一つ一つ思い出すようにしながら無言のカナヲに告げる。
「わかりました。」
一言だけ答えるとカナヲはそのまま禰豆子を追うために走り出した。
「さて、と。」
よいしょ、と己の手刀で気を失っていた炭治郎をさも軽いものでも担ぐように軽々と持ち上げる。
「えーっと、しのぶ?さん?と義勇?さん?がいるんだっけか?」
いちいち疑問形にそう言っていつもの口癖を一つこぼした後、炭治郎を肩に担いだままゆっくりと歩き始めた。
「鬼を斬りに行くための私の攻撃は正当ですから違反にはならないと思いますけど、
富岡さんのこれは隊律違反です」
胡蝶の刃を受けながら締めている富岡に胡蝶は告げる。
そんな折、
「なぁ、こいつどうすんの?」
ピリピリとした張り詰めた空気を物ともせず、鑢七花は二人の柱に声を掛ける。
「七花さん、突然声をかけないでください。驚きます。」
「あぁ、すまねぇ、」
七花の声に2人は手を止め、離れる。柱を、立場が上のものを敬うという考えはない七花は敬称だけは付けるようにお館様にしつけられていた。
そして2人は今更のように七花が肩に担いだ少年、炭治郎に目を向け少し驚いたような顔をする。
「なぁ、こいつどうすんの?」
七花がもう一度その言葉を発した時、義勇の表情がやや強張った。七花がこれから言おうとする言葉が予想できたからだろう。
「隊律違反なんだろ?こいつ。殺すか?」
落とし物を拾おうか?とでも言うようにごくごく自然に言い放つ七花。
「(この人は相変わらず......)」
___刀は持ち主を選ぶが、切るものを選ばない。
おそらくここで2人のうちどちらかでも殺せと命じれば何の躊躇いもなく、未来ある若者を殺すだろう。
そのことに対して何の覚悟も、思いもなく。七花は敬うということはしないが上の者が絶対という考え方の人間である。
一瞬静まり返った空気に不思議そうな七花が再度言葉を発する前に、言葉を選びながら胡蝶が口を開く前に、突如響いた声があった。
「伝令!!伝令!!カアァァ 伝令アリ!!炭治郎・禰豆子両名ヲ拘束 本部へ連レ帰ルベシ!!」
鴉の声に2人は驚きの表情を見せる。
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作者名:声優2次元大好き! | 作成日時:2020年6月25日 18時