How to cure【実/況/者】 (ページ10)

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rt_発熱ページ10

「マコ、ちょっと起きて。」

「…何。」

「あまりにも熱い。熱ある？」

小さなロケバスで隣に座っていた彼女は異様に温かい。

「なんで気づいたの…？」

「自覚はあるのね。」

「もともと万全とは言えなかったんだよね。」

マスク実況者ではないのに
撮影以外ではマスクをつけていた彼女。
喉の調子が少し。とは聞いていたが
喉だけでは無かったようだ。

大きく深呼吸をした彼女。

「寒い？」

「ちょっと。」
　
「これ使いな。」

上着を彼女の上にかけた。

「何〜？どした〜？」

後ろにいたガッチさんが反応した。

「マコ、発熱。
しかも寒いらしいからまだ上がるだろうね。」

「え、大丈夫？」

同じくキヨくん。

「間違いなく昨日のが追い打ちじゃん。」

うっしーの言ったとおりだと思う。

今回の企画は実況者とは思えないぐらい体を張らされた。
昨日のマコなんて水を思いっきりかけられていた。

「あんまり言わないであげて…
新人プロデューサーさんなんだから。
企画自体は結構面白かったし…言わなかった私もだし。」

「お前ねぇ…」

うっしーの言いたいことはすごく分かる。

「まぁまぁ。マコも自覚してるみたいだから…ね？」

「マコ薬とか飲んだ？」

「2時間前ぐらいに飲んだよ。」

「飲んでてコレなの？！明日、絶対に病院行きな？」

「分かったから。」

あぁ…ごめん。声がちょっと大きかったか…と
そこからしばらく沈黙が続いた。

「レトさんのにおいって安心する…」

ギュッと上にかけた俺の上着を握った彼女。

前触れがあったとしても
対処しきれなかったであろうとんでもない爆弾が爆発した。

動揺して大きく目を見開いた。
えっ…？と思考が止まっていて、
その間に彼女はもう寝てしまっていた。

え…今のは寝言に近いもの…？！なんて恐ろしい子…！

「彼女、ナチュラルキラーだから気をつけて…笑」

「気ぃつけようがなくない…？」

思わず頭を抱えると
小さなロケバス内にクスクスと小さな笑い声が広がった。