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なんでこんなことになったんだ。
彼が風呂に顔を突っ込み、それを上から押さえつけている。
未だ泡がこぽこぽと浮いているのを見て、ああまだ生きているのかと心の何処かで落胆している自分がいる。
正直、彼の意図がよくわからない。
私にとっては好都合でしかないが、どうしてそんなにも自身の命を軽々と扱えるのだろうか。
マゾ、という訳では無さそうだ。絶対的に死なないという自信があるにしても、こんなにも二つ返事で承諾してくれるものなのか？
動かないで。と言ったら彼は嬉々として、いいよと言った。あやふやで掴みどころがなくて。本当、気味が悪い。
しかしまあ考えていても、人間じゃないやつの気持ちなんてわかる筈も無いし、わかりたくも無い。
泡がこぽこぽと小さかったのが、だんだん大きいものが激しく浮かんでくるようになった。そろそろ死ぬのか。
もう罪悪感すら感じない。ただ、なにも感化される事の無い作業になってしまっている。
こんなにも、呆気ないものなのか。
彼が動かなくなり、操り人形の糸が切られたように四肢がぷらんと垂れ下がっている。
彼の死体を見ても魚の居ない水槽を見るように、何も感情が浮かばない。
『つかれた、』
たった四文字。
口から紫煙を吐くように、溢れた。
ようやく、終わったのだと彼のぴくりともしない背中を見て脳が理解し始める。
じわじわと彼を殺した達成感なのか満足感からくるものなのか、定かでは無いが、彼という忌々しい鳥籠から解放された気分になった。
なにか心につっかかるものがあるが、ぐっと生唾と共に飲み込んだ。
『手、洗お』
洗面台に移動し、蛇口を捻る。
きゅ、と甲高いイヤな音でさえ私を称えてくれているようで、思わず笑みが浮かんだ。
「初めて、笑ったな」
聞きたくない。
聞こえてはいけない声が背後から嫌でも耳に入ってきた。
『はは、もう、
なんで生きてんのよ』
諦めたような、気力が何一つ感じられない声が出た。
鏡越しに目が合った。もう、殺されてもいいやなんて、悪魔に甘言を囁かれたような思考に陥った。
「さアな。オレが知りてえよ」
溜息をつく。もう、苛つきを通り越してもはや呆れだ。
「そろそろ殺すのにも慣れてきた？」
『おかげさまでね』
皮肉を込めて言ったつもりが、彼の能天気すぎる脳は解釈違いを起こしてしまったようだった。
「…やっぱ、好き。アイツが死んだら、付き合おうぜ。オレたち」
『死んでも、イヤ』
彼の眼は愉悦に濡れていた。
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。(プロフ) - ポメさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！そこまでストレートに褒められるなんて光栄です。これからもこの作品に乞うご期待を。 (3月27日 23時) (
レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
ポメ(プロフ) - 言葉に表せないくらいに最高です!!!! 次回の更新も楽しみにしてます！ (3月27日 6時) (レス) id: 8673ceb004 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - あさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！褒め言葉で究極とまで言われてしまうとは、嬉しい限りです。これからもこの作品に乞うご期待を。 (3月14日 0時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
あ - は〜〜〜え〜〜、なんか、何だ、もうあれです、究極的に好き…。楽しく(？)更新頑張ってください、待ってます！ (3月13日 18時) (レス) @page9 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ヨーグルトさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！感想だけでなく、応援まで…モチベーション上がりまくりです！更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (3月11日 23時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作成日時：2024年2月3日 23時
