殺し方5 ページ8
あと６日でキミは死んでしまう。
それだと言うのに、彼の眼が、私に向けられた殺意が、脳をこびりついて離れない。
彼を殺す算段はついているのに、実行をしようとすると、死の瀬戸際に立たされる感覚がフラッシュバックして、吐き気を催してしまう。
「今日は、殺さねえの？」
顔を、見れない。
「だからァ、無視すんなって。昨日のこと、忘れちゃった？」
彼の、骨ばった手が伸びてくる。
また
また
殺される。
目がじわりと熱くなる。
『やめ、て。ころさないで』
彼に弱い姿を見せたくないのに。
涙はとめどなく、崩壊したダムのように流れる。
「…へ、かわい。かわいー。好きだよ。好き。大好き。」
彼に好意を持たれているからといって、所詮女と男の力の差は拭えない。彼が躊躇なく私に手を下せることに変わりないのだ。好きな人に危害を加えない、なんて常識が"死神"である彼に通用すると思ってはいけない。
きっと彼にとって、私の命は親指と人差し指に挟めばぺしゃりと潰せてしまう、アリのようにちっぽけなものなのだ。
だから、キミが死んでしまうことを私に通達するのも。自ら命を投げ捨てるような真似をするのも。これらは、死神にとってただの戯れに過ぎないのであろう。
私は今まで彼の掌で踊らされていたのだ。
そう、実感せざるを得なかった。
でも、キミも彼の掌で弄ばれていると思うと癪だ。
そうだ。
私なんかの命より、キミの命の方が大切だと。
そんな当たり前のことをなぜ忘れてしまっていたのだ。
殺されるのは嫌だけれど、キミが死んでしまう方がもっと嫌だ。
『私と一緒に死んでくれない？』
彼の口から、乾いた笑いが溢れた。
呆れたような、こうなることを見据えていたかのような笑いだった。
「お前、ほんと、そういうとこだよ。」
「そうやって、アイツを守るためとか言いながら、ただ勝手に自己満で気持ちよくなってるだけ。どうせ、貴方のためなら死んでもいい。とかって思ってんだろ？」
図星だ。
思考が見透かされ、顔が熱くなった。
反論したら、さらに恥をかくのではないかと、口を噤んだ。
「図星か。ま、俺はそんなAチャンのことも愛せる器だってコト」
「そんな君に今なら大大大大大サービス！！！！」
喜べとでも言っているような瞳と目がかち合った。
「一個だけなんでも言うこと聞いてやるよ。
しかも、絶対手を出さない！どうよ。この条件」
思考が働きかけるまでもなく口が動いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
。(プロフ) - ポメさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！そこまでストレートに褒められるなんて光栄です。これからもこの作品に乞うご期待を。 (3月27日 23時) (
レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
ポメ(プロフ) - 言葉に表せないくらいに最高です!!!! 次回の更新も楽しみにしてます！ (3月27日 6時) (レス) id: 8673ceb004 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - あさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！褒め言葉で究極とまで言われてしまうとは、嬉しい限りです。これからもこの作品に乞うご期待を。 (3月14日 0時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
あ - は〜〜〜え〜〜、なんか、何だ、もうあれです、究極的に好き…。楽しく(？)更新頑張ってください、待ってます！ (3月13日 18時) (レス) @page9 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ヨーグルトさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！感想だけでなく、応援まで…モチベーション上がりまくりです！更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (3月11日 23時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：。 | 作成日時：2024年2月3日 23時
