殺し方3 ページ5
「愛してる」
耳元で突然囁かれた。背筋に悪寒が走り、全身に鳥肌が立つ。
『なに、気持ち悪い』
切実にやめて欲しい。嫌悪感を覚えるから、だけではない。いつか彼に絆されてしまいそうで、殺す時に情をかけてしまいそうで心底怖いのだ。
私にはキミしかいないから。
自身に言い聞かせるように、脳内で反復詠唱する。
「ひでえな。オンナノコってこういうのにキュンとくるんじゃねえの？」
からからと笑い飛ばし、性懲りもなく愛を囁いてくる彼が不快でしかない。何よりも自分が一方的に彼に弄ばれている気がしてただただ屈辱でしかない。
彼が私に好意を持っているのだから、とことんソレを利用してやろうではないか。
『アンタ、名前は？』
「！…教えねー」
けらけら揶揄うように笑う彼が憎たらしい。自身の額に青筋が浮かんでいるのがわかる。そんな感情を覆い隠すように必死に取り繕う。
『じゃあ、好きな食べ物は？』
「…肉？」
『ちょっと待ってて』
これしかない。
毒殺なら。昨日のようなヘマはしない。サラダ油の代わりに、洗剤をフライパンの上に敷く。その上に、実家から送られてきたステーキを置くとじゅうじゅうと食欲が唆られる音が響いてくる。
「愛妻料理？へへ、うまそ」
後ろから抱きつかれる。思わず、体が強張る。
バレた？
冷や汗が背を伝う。
「そんなビビんなよォ。結局俺のこと好きなんじゃん。」
いや、まだバレてない。大丈夫。ばくばく脈打っていた心臓を落ち着かせる。
『座って待ってて』
動揺しているのを勘付かれぬよう、宥めるような声色で彼に喋る。
「…はーい」
渋々といった形で離れる彼が心底恨めしい。ああ、くそ。なんでそんなに呑気でいられるんだ。違う。浮気じゃない。これは断じて浮気じゃない。不可抗力だ。
心の中で精一杯キミに謝罪する。
コップの中にも水と洗剤を混ぜておく。
『どうぞ』
「いただきまーす」
彼が咀嚼するたび、身体がこわばり鼓動が早まるのがわかる。
『美味しい？』
「うん、これうまい」
笑顔で食べ進める彼に罪悪感が芽生える。だが、元はと言えばキミを殺そうとした目の前のコイツが悪いのだ。これは、しょうがないことなのだ、と割り切る。
水を飲み干した彼の顔色を窺う。
「ご馳走様」
『お粗末さまでした』
はやく、早く死んでくれ。
そんな最低な考えに応えるようにみるみるうちに彼の顔は青ざめていく。
「お"え」
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。(プロフ) - ポメさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！そこまでストレートに褒められるなんて光栄です。これからもこの作品に乞うご期待を。 (3月27日 23時) (
レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
ポメ(プロフ) - 言葉に表せないくらいに最高です!!!! 次回の更新も楽しみにしてます！ (3月27日 6時) (レス) id: 8673ceb004 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - あさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！褒め言葉で究極とまで言われてしまうとは、嬉しい限りです。これからもこの作品に乞うご期待を。 (3月14日 0時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
あ - は〜〜〜え〜〜、なんか、何だ、もうあれです、究極的に好き…。楽しく(？)更新頑張ってください、待ってます！ (3月13日 18時) (レス) @page9 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ヨーグルトさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！感想だけでなく、応援まで…モチベーション上がりまくりです！更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (3月11日 23時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作成日時：2024年2月3日 23時
