あすこ ページ3
妖である俺は鏡には映らない
霊力のある鏡や湖にはたまに映る
自分の顔を確認してみる
でもこれがホントの俺自身の顔なのか全くわからない
俺が今まで存在していたのを全てなかったことにされたように感じて辛かった
悲しかった
悔しかった
でもこれも自業自得なのかなって
俺がいつもいるのは真っ暗闇で
あちこちにお面の内側が見える
お面の顔はそれぞれ全部違くて
余計に自分の顔が分からなくなった
「あれ？アンタ変な匂いすんね」
ある日突然話しかけられた
なんだコイツ
ピコピコ動く大きな耳にフサフサの尻尾の生えた人間…
いや人間にこんなの生えてないわ
しかも宙に浮かねぇわ
俺は何も見なかったことにした
貴女「ちょっと待て！そこまで分かってんなら無視する必要皆無でしょ！」
二口「すいません、瓦版なら間に合ってます」
※昔の新聞とかチラシ
貴女「そうですか……ってちげー！！！！」
うるせーコイツ
なにしたいんだこのガキ
貴女「コイツだのガキだの好き勝手言いやがって」
二口「言ってねーし……ってかリアルに言ってないんだけど」
貴女「読心術(｀･ω･´)」
二口「帰れ」
貴女「ごめんてごめんて！だってほんとに君他の妖とは違う匂いしたから」
何だ違う匂いって
今度こそ声に出ていた
するとこんな返答をされた
貴女「何だろ…人間臭いのかな少しだけ…あとゴミ捨て場」
結局臭いんじゃねーか
俺は思わずそう返した
貴女「ちょっと違う！君自身はそこまで臭くないの！……ちょっと人間の匂いがあるのは違和感あるけど」
二口「じゃあ何でゴミ捨て場とか言った」
貴女「何だろ……何ていうんかな
人間ってすぐに憎悪とか生み出すでしょ？でも大概それを他の人に当てる、もしくはもう気が済んだからってことでその憎悪を知らず知らずのうちに消してる
その消してる、当てるってことはつまり自分から別のところに捨ててるってことなんだよね。君はそれを無意識に拾ってたっていうか当てられてたっていうか…。君が拾えば勿論他の人は拾う必要がないしそこにゴミがあったって気付かないで今後を生きる
ほら、よくゴミ捨て場で人の死体が捨てられてたりするでしょ？あぁいう所の臭いと君の臭いは似てるんだ。あの凝縮された憎悪とね」
難しかったけど、それがこいつの感性的なアレ何だろう
俺には理解し難い
貴女「あ、でもそう考えると…
君ってもしかして人間だったりした？」
ドキッと音が鳴った
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