【及川徹】ずっとずっと昔の話【黒尾鉄郎】 (ページ29)

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にじゅうはちページ29

黒尾side

黒尾「おはようお香ちゃん」

貴女「おはようございます、ご飯出来てるので皆さん呼んできてください」

食堂に1番乗りだった俺は、そうAと一言交わしてまた部屋へ戻った

いつも思う、もっと愛想よくしたらいいのに、と

俺は寝起きが悪い、酷いと自負している

それは好きなAにも同じ対応をしてしまっているので、まぁつまり部員は皆知っている

そのせいか音駒の朝は結構淡白というかさっぱりしている、いつもの部活のテンションではない

黒尾「お前ら起きろー、飯出来てるってよ」

海「じゃあ青城も起こさなきゃだね」

青城は本当は起こしたくない

理由は簡単で、及川がいるからだ

別に嫌な奴ではないと思う、でもあのAにトラウマを与えた張本人だ

いくら彼女が大丈夫だと言って許してるようでも俺は絶対許さない

ていうかあいつAのこと好きだろ、何で許された瞬間アタックし始めたんだよ

孤爪「クロ、顔酷いよ」

黒尾「お香ちゃんに嫌われそう？」

孤爪「Aが俺らの事嫌うと思うの？」

黒尾「じゃあいいか」

多分、Aはバレーに縛られ続ける限り俺らの事を嫌いになったりすることはないだろう

何か確信的な理由がある訳では無いが、その点に関しては部員一同信頼を置いている

青城を起こす、もう既に岩泉と松川、渡が起きていたみたいで「後で行く、すまねぇ」とドア越しに発した

食堂に着き、音駒の中の最終尾につく

お盆を持てばその上にAが朝食を置いてくれる、相変わらず美味しそうだった

朝食を置く彼女に話しかける

黒尾「ねぇお香ちゃん」

貴女「どうしました？」

黒尾「俺の寝起き悪いのどう思う？」

貴女「はい？」

黒尾「俺朝皆に冷たくしちゃうじゃん、お香ちゃんにも、だからどう思ってんのかなって」

貴女「そうですね…」

俺はこの先の答えを聞くのが怖いとわかっていて聞いた

それは興味を持ってしまったから

本当にAが俺らを嫌う事がないか、見捨てることがないか

少し俯いて答えを待った

貴女「何を心配してるのか知りませんが、音駒名物でしょう？貴方の寝起きの悪さは」

黒尾「え？」

彼女はくすっと笑って上目遣いに言葉を続けた

貴女「貴方が寝起き悪いのは今に始まったことじゃないでしょう、それに皆知ってるんです、貴方が自分の寝起きの悪さについて悩んでること。私はそんな貴方が」

____________愛しくてたまらない

あぁ、勝てないな、そう思った