【及川徹】ずっとずっと昔の話【黒尾鉄郎】 (ページ13)

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じゅうにページ13

貴女「疲れました」

黒尾「おぉ、先生との論争どうだったよ」

貴女「勝ちました」

あの吹部の顧問の話だ

予算上げろって煩いから態々出向いたのだ

貴女『先生何度も言いますが値上げはダメです』

先生『そこを頼むよ、吹部は何かと金がかかるんだよ』

貴女『先生にこういうのはあれですが、金の使い方が下手なんですよ。アンプ・楽譜も沢山買う必要ありません、それに保護者会からも借りてるんでしょう？部費も十分上げてるし…』

先生『法律でコピーは禁止って決まってるだろ！合法だ！それにうちの学校は成績残してるんだ！文句ないだろう！！』

貴女『先生、それなら交渉すればいいじゃないですか。パートごとに買ったってその中で使うには結局コピーするじゃないですか。それに貴方が顧問になってから成績は1つも残ってません』

先生『好き勝手言ってよォ……いいんだぞ？成績下げても』

貴女『あ、やっぱり言いましたね脅し文句、全部録音したので校長とPTAとその他諸々に報告しますね』

貴女「というわけで報告してきました」

黒尾「鬼というか流石というか……」

貴女「そういえば夜久さんどうしたんですか？」

黒尾「アイツのレシーブ練にいってる」

貴女「灰羽さんご愁傷様ですね…」

私は明後日を見ながら黒尾さんから貰った菓子パンを開けた

甘い、小麦の香りと甘味が鼻を通った

食べると口に広がる甘さ

貴女「クリームパンですね」

黒尾「お前そこのクリームパン好きだろ」

貴女「えぇ、ありがとうございます」

コンビニのクリームパンとは違う、パンとクリームが分離してない感じがとても好きだ

一体化しててとてもまろやか、しつこくない

黒尾「Aももっと休めたらいいのになぁ」

貴女「まぁ自分から入りましたからね、そういえば合同合宿どうなりました？」

黒尾「合宿じゃなくて遠征になった」

貴女「わかりました」

もぐもぐと口を動かしていると、黒尾さんの手がこちらへ伸びてきた

私の口元に指を置いて何かを掬いとった

黒尾「クリームついてた、気をつけて食えよ」

彼はそういうとそれを舐めた

いつもは割と罵倒しているが、彼は普通にイケメンなイイヤツだと思う

その割にモテないという

貴女「その天然たらし直したらもっとモテるでしょうに…」

黒尾「好きな人からモテなきゃ意味無いだろ」

貴女「好きな人いるんですか」

黒尾「まぁ…な」

彼はそう言い困った顔をした