ミツバ篇9【過去】 ページ9
『うわーーーーんッミツバ姉ーーー総悟がッ総悟がまたAを虐めるの!!』
この頃の私は随分泣き虫でよくミツバ姉に泣きついていた。
「おいA!ずるいぞ!そうやってすぐ姉上の所にいきやがって!だし別に!…別に虐めてなんかないやィ。」
総悟に怒られて余計に泣き出す私をいつも慰めてくれたのは、両親が居ない私の事を実の妹のように育ててくれていたミツバ姉だった。
男ばかりの道場で唯一の心の拠り所だった気がする。
「Aちゃん。そうちゃんはね、意地悪に感じるかもしれないけど本当はすんごーくやさしい男の子なのよ〜!今はよく突っかかってくるかもだけど嫌いにならないであげてね」
総悟が不貞腐れたように言ういつも最後の掠れた言葉はAには届かないがミツバにはしっかり聞こえていたのだ。
グズッ。この時ミツバ姉が何を言ってるか分からなかったけど、直ぐに理解できるようになる。総悟はなんだかんだ言って人の事をちゃんと考えられる良い奴だってね。
それはある日の事。
私が素振りをしていた時運悪く、道場破りがわざわざ出向いて来てくれたのだ。
「おぃそこの女ァちょいと話ァしねぇかい?」
見た感じ一回りも二回りも年上の男がニヤニヤしながら話しかけてくる。泣き虫だった私が涙を我慢することが出来るはずもなく、
うわあああああああああああああああああああん
そう爆泣きした。
でもこの日は、もっと運悪く近藤さんも土方さんも総悟も道場には来ていなかった。
だから。誰も助けに来てくれないのだ。
遂に、あんまりにもうるさく泣く私に痺れを切らしたのか
うるせェェ!!!と拳を振り上げられたその瞬間
「Aッッ!!!」
と私の名前を叫ぶ総悟の声がした。
結局私も総悟もボコボコにして満足したのか道場破りは帰って行った。
でも殴り蹴られてる間総悟は私を庇うように覆いかぶさっていてくれたおかげで、顔だけは傷つかずに済んだのだ。
「A。お前腐っても女なんだから、自分の身体もっと大切にしろよな」
顔パンパンに腫らしてる総悟が何言ってんだかっ!ってツッコむと総悟も一緒になって腹抱えて笑った。
身体中痛かったけど、心はポカポカだった。
案の定、家に帰るとミツバ姉にたらっふく怒られたし心配もかけた。
こんな私をずっと育ててくれたミツバ姉にはホント頭上がらない。
ミツバ姉。
今度は私が恩返しする番だよ。
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作者名:サメハル | 作成日時:2023年1月9日 16時