ミツバ篇14 ページ14
撃てェェェエエ!!!
大量の鉛玉が私達目掛けて降り注がんとしている中、蔵場が車で逃げる様子が見えた。
『チッ。副長。アイツ逃がしたら一生祟りますよ。』
「おいっ。お前何やってんだっ!!!」
私は副長の顔面を蹴って物陰へととばす。
ほぼ同時に
新選組だァァァァァア!!!
と仲間が来た知らせがあった。
何発もの弾が私の身体を貫通する。
なんだコレ。死ぬほど痛い…。
けど。まだ私にはやらなきゃいけないことが残ってる。ここでくたばる訳にゃいかないもんで。
生き残りの攘夷浪士を切りつけてやっと立っているのが私一人になった。
早く病院に急がなきゃ…。
思っていても足が前に出ない。身体もどんどん重くなっていくのがわかる。
あ…。これヤバイかも。さっきから視界がボヤけて…。
「Aッッッ!!」
幻聴かな。総悟の声が…する…。
ここで私の意識は途絶えた。
「Aちゃん。Aちゃん。」
何でだろ。ミツバ姉の声がする。
「Aちゃんそろそろ起きなさい。」
目を開けるとそこには満面の笑みを浮かべながら激辛煎餅をほうばるミツバ姉が居た。
『ミツバ姉!体調は大丈夫なの!?心配したんだから…!』
そう言って駆け寄ろうとするが、ミツバ姉は川の向こう側に居て駆け寄ろうにもそれが出来なかった。この川がなんだか、渡ってしまったらどうなるのか嫌でも察してしまったから。
「Aちゃん。こっちにはまだ来たら駄目よ。貴方を待っている人が沢山いるわ。」
『ミツバ姉…そんなのミツバ姉も同じだよっ!ねぇ、なんでそっち側にいるの?副長だって、総悟だって、私だってミツバ姉ともっともっと一緒に居たかったよ!!!』
もう泣き止むことが出来ない。
辛いのは皆同じなのに。
「Aちゃん。そうちゃんはね、あぁ見えてとても寂しがり屋なのよ。だからAちゃん。これからは貴方がそうちゃんを支えてくれる?」
そうちゃんとAちゃんの結婚式に行けないってのが私の最後の心残りかな〜、と笑うミツバ姉はとても儚かった。
『ちょ、ミツバ姉!!!変なこと言わないでよ!私は別に…』
「A。素直に生きなさい。もう誰にも後悔して欲しくないの。」
そう笑ったミツバ姉はやはりどこか儚かった。
私は何も言えなくなった。
「Aちゃん。もう時間のようね。これからも皆をよろしくね。あなたは私の自慢の妹…よ。」
同時に私の意識も渦の中に飲み込まれるように消えていく。
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作者名:サメハル | 作成日時:2023年1月9日 16時